米エネ省のペリー新長官、処分場候補地だったユッカマウンテンを視察

2017年3月28日

 米エネルギー省(DOE)のR.ペリー長官は3月27日、オバマ前政権が使用済燃料深地層処分場の建設計画を打ち切ったネバダ州ユッカマウンテンのサイトを視察したと発表した。新長官としての宣誓を2日に行って以来、初の公式視察であり、D.トランプ大統領は16日に2018会計年度予算案の中で同処分場建設計画の許認可関係活動を再開する経費と中間貯蔵プログラムの開始経費として1億2,000万ドルを提案したばかり。同州選出議員の一部には、長官が訪れることが事前に知らされていない「サプライズ視察」だったこともあり、現地メディアでは物議を醸している。ペリー長官は同日の午前中にユッカマウンテン・サイトを視察した後、締め括りとして同州のB.サンドバル知事とサイトの状況について会談。今後、処分場建設計画について多くの連邦政府や州政府、地元、商業的なステークホルダーなどと協議するプロセスの第一歩になったと述べた。一方、州知事は長官の訪問に謝意を示したものの、処分場建設計画に対する断固たる反対意見を改めて表明。この会談が交渉の始まりとはならない点を強調した。

 発表によると、ペリー長官は州の最高裁判所ビル内における知事との会談を「率直かつ生産的なものだった」と形容。サンドバル知事とは、同長官がテキサス州知事を務めていた頃から様々な課題にともに取り組んだ仲であり、知事の友情とリーダーシップを高く評価していると述べ、この問題やその他の課題についても知事とは絶えず連絡を取り合っていきたいとした。また、ネバダ州は古くから原子力産業や軍事産業と深く関わっていることから、長官は知事に感謝の念を表明。その上で、使用済燃料の安全な管理という責任の遂行で長期的に安定した思慮深い解決策を模索した場合、同州には重要な役割を担い続ける必要があると強調している。

 ユッカマウンテンに使用済燃料と高レベル放射性廃棄物(HLW)の深地層処分場を建設する計画については、オバマ政権の打ち切り決定に従い、DOEが2010年に建設認可申請の取り下げを原子力規制委員会(NRC)に通達した。同計画の強硬な反対論者だったH.リード上院院内総務(ネバダ州選出)が上院の2012会計年度予算案に同計画の建設認可申請審査経費を付けなかったことから、NRCの実質的な審査活動は2011会計年度末の同年9月で停止された。その後、これらの廃棄物の管理処分対策を審議していた政府の有識者特別(ブルーリボン)委員会は2012年1月に最終報告書を公表。管理処分施設を地元の合意に基づく手法で新たに選定することや、集中中間貯蔵施設と深地層処分場を少なくとも1つずつ、早急に建設するなど、8項目の勧告を提示した。ユッカマウンテン関連では2013年、裁判所命令により残余予算の範囲内でDOEの許認可申請の審査を再開することが決定し、NRCは2015年1月に安全性評価報告書の全5巻を完成させたほか、2016年5月に環境影響声明書の最終補足文書を公表している。