ハンガリーのパクシュ5、6号機建設計画にサイト許可
ハンガリーの国家原子力庁(HAEA)は3月31日、国営電気事業者のMVMグループが進めているパクシュ原子力発電所5、6号機(各120万kWのロシア型PWR)増設計画にサイト許可を発給したと発表した。同国は現在、唯一の原子力発電設備である1~4号機(各50万kWのロシア型PWR)で総発電電力量の約半分を賄っているものの、1980年代に運転開始したこれらの4基では経年化も進んでいる。機器の最新化を含めた運転期間の延長手続を1号機から順に行っているが、Ⅱ期工事となる5、6号機の建設は将来的に既存炉をリプレースするのが主な目的。現地の報道では、今後最終的な環境認可と建設許可が発給されるのを待って、2018年には着工できるとの見通しが伝えられている。
ハンガリー政府がこの増設計画をロシアからの融資で実施すると発表したのは2014年1月のことで、両国政府はその翌月、総工費の約8割にあたる最大100億ユーロ(約1兆1,900億円)をロシアが完成後21年間の低金利ローンでハンガリーに融資することで合意した。同年12月には、パクシュⅡ期工事開発会社が2023年と2025年の5、6号機完成を目指して、(1)エンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約、(2)完成炉の運転・管理契約、(3)燃料の供給契約--をロシアのエンジニアリング企業NIAEP―ASE社と締結した。しかし、欧州連合の執行機関であるEC(欧州委員会)は2015年11月、これが公的調達に関するEU指令に準拠しているかについての調査と、EU域内の競争法であるEU機能条約(TFEU)における国家補助規則との適合性調査を開始した。ECは2016年11月に公的調達に関しては違反行為がなかったと認めた一方、同建設計画への投資はTFEU第107条1項の規定範囲内で国家補助が含まれると今月6日に裁定。国内のエネルギー市場で競争原理の歪みを過度に生じさせないよう、政府が複数の対策を取ることを条件に、この投資を承認すると発表していた。