独GNS社、使用済燃料の中間貯蔵事業を連邦政府に移管
ドイツ国内3つの使用済燃料集中中間貯蔵施設のうち2つを操業する原子力サービス会社(GNS)は5月8日、これらの施設と事業を連邦政府の環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)に引き渡すことで両者が合意したと発表した。GNS社はドイツの原子力発電事業者などが出資する民間の放射性廃棄物処理・原子力施設設計・建設・廃止措置企業だが、昨年12月に成立した法案により、廃棄物の中間貯蔵と最終処分に要する経費を事業者が負担する一方、処分場の建設や操業といった事業は連邦政府に移管することが決定。今回の合意により、アーハウスとゴアレーベンにあるGNS社の中間貯蔵施設と従業員約80名、およびエッセンにあるGNS本社の従業員中、約70名は、8月1日から中間貯蔵の事業責任とともに連邦政府の新会社「連邦中間貯蔵会社(BGZ)」に移されることになった。GNS本社の運営および、同社で他の放射性廃棄物事業に携わる約450名の従業員はこれまでどおり、GNS社の管理下に置かれる予定である。
昨年末に成立した「放射性廃棄物管理のための責任分担刷新法」においては、中間貯蔵と最終処分事業に要する経費合計235億5,600万ユーロ(約2兆9,200億円)を原子力発電事業者4社が支払うことが定められた。内訳としては、中間貯蔵施設とキャニスターの製造、最終処分場の建設・操業に必要な費用173億8,900万ユーロ(約2兆1,600億円)を、法案成立後7か月以内に政府の新設基金に払い込む。次いで2022年までにこの額の約35.5%にあたる61億6,700万ユーロ(約7,650億円)を、利子などで経費が超過した場合の「リスク保険料」として支払うとされた。
ドイツではまた、「放射性廃棄物管理組織の再編法」と「高レベル放射性廃棄物最終処分場のサイト選定法」に従って、廃棄物管理体制の改革も進行中。BMUBの下に関連の許認可発給・監督機能を持った連邦放射性廃棄物処分安全庁(BfE)が新たに設置されたほか、これまでBMUBの監督下で処分場の建設・操業責任を担っていた連邦放射線防護庁(BfS)が今年4月、連邦放射性廃棄物機関(BGE)社として再編された。BfS従業員と廃棄物処分業務をBGE社が引き継ぐことになったのに加え、実際の処分場建設・操業業務を請け負っていた民間のDBE社も、数か月以内にBGE社に統合される予定である。BGE社は100%国有の廃棄物管理実施主体として、放射性廃棄物処分場の候補地選定手続から設置・操業まですべてを担当。低中レベル廃棄物の試験的処分が行われたアッセII研究鉱山と東独時代に操業されていたモルスレーベン低中レベル廃棄物処分場(現在は廃止措置準備中)の管理、コンラッド低中レベル廃棄物処分場の建設計画も受け持つことになっている。