アシステム社、新設計画への参加ねらいニュー・アレバNP社に5%の出資提案

2017年5月12日

 フランスを拠点とする国際的な原子力エンジニアリング・研究開発サービス企業のアシステム社は5月11日、社内のエネルギー・インフラ部門を拡大する戦略1つとして、アレバ社からフランス電力(EDF)への売却が決まっている原子炉機器と燃料の設計・製造、関連サービス部門「アレバNP社」の新法人に5%出資することをEDFとアレバ社に提案した。理由として、化石燃料による発電を低炭素なものに代替する必要性から、世界中で原子力エンジニアリングに対するニーズが急速に高まっている点を指摘。EDFとの長年にわたる戦略的連携を一層強化するとともに、新たな原子炉建設プロジェクトへの参加機会を得ることが主な目的だとした。協議がまとまった場合の総投資額は約1億2,500万ユーロ(約154億円)で、ニュー・アレバNP社が本格的に法人化され、アレバ社側の売却条件が満たされた時点で実行するとしている。

 財政難に陥ったアレバ社を救済するため、EDFは2015年7月、ニューNP社株の51~75%を購入することでアレバ社と合意した。アレバ社がニューNP社株の15~25%を保有する少数株主として留まることを希望する一方、EDFはニューNP社の独占的支配権が維持できる最低51%まで株式保有率を下げる方針。2016年11月にEDFは、ニューNP社株の最大75%を取得する契約書に調印したが、同様に同社株の取得に関心を持つ戦略的投資家との協議を続けていた。アシステム社による5%の出資提案は、ニューNP社株100%の最終査定額25億ユーロ(約3,089億円)に基づいて決定したもの。EDFとの連携の中でも特に、フランスと英国における民生用原子力発電所の運転条件を維持したり、フランス原子力産業界が主導する建設プロジェクトに参加するなどの分野で、新しい事業機会を創出したいと述べた。また、この出資により、フランス原子力産業界のパートナーである日本や中国と同社が築いてきた連携が強化されるほか、国際原子力市場で競合するロシアや韓国と同社の協力関係が制約を受けることはない点を強調した。

 ニューNP社は現在のアレバNP社の100%子会社として発足するが、親会社の財政的および法的な責任からは切り離される予定。作業の遅れにより工費が超過したフィンランドのオルキルオト3号機建設計画や、アレバ社傘下のクルーゾー・フォルジュ社が製造した品質に問題のある鍛造機器の契約などは、親会社の管轄に留め置かれる。なお、アレバ社はNP社の売却により残った燃料サイクル関係部門を統合して、昨年11月に新会社(仮称:NewCo)を設立した。フランス政府はアレバ社とNewCoの双方に対し、それぞれ20億ユーロ(約2,471億円)と25億ユーロの公的資金を投入することになっており、欧州委員会は今年1月にこのプランを承認。また、三菱重工と日本原燃は今年3月、NewCoに5%ずつ合計5億ユーロ(約618億円)を出資することでフランス側と最終合意に達している。