米ボーグル増設計画の事業者、WH社からプロジェクト管理業務 引き継ぎへ
米国でウェスチングハウス(WH)社製AP1000設計を採用したボーグル原子力発電所3、4号機の増設計画を進めるジョージア・パワー社は5月12日、同計画についてWH社と締結したエンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約が同社の倒産手続において却下された時点で、サザン社の子会社であるジョージア・パワー社とサザン・ニュークリア社が増設計画のプロジェクト管理をWH社から引き継ぐことになったと発表した。3月末にWH社が再建型の倒産法適用を申請したのにともない、両者が実施していた協議の中で原則合意したもので、必要な承認をすべて得た上で最終決定することになる。また、ジョージア・パワー社を始めとする増設計画のオーナー達が、原子炉の完成までに必要なコストや期間、完成オプションについて全面的な検討・分析を行う間、建設サイトでの作業継続を可能にするWH社との「中間評価協定」が12日付けで満了したことから、ジョージア・パワー社はこれを6月3日まで延長すると決定。この期限までに顧客にとって最良の道を判断するとともに、プロジェクト管理を秩序立てて移行するための作業も始めるとしている。
ジョージア州東部のウェインズボロ近郊で、米国で約30年ぶりの原子力発電所新設計画の1つとしてボーグル3号機の最初のコンクリート打設が行われたのは2013年3月のこと。同計画は、サザン社の最大子会社として50億ドル出資するジョージア・パワー社が45.7%所有しているほか、地元のオーグルソープ電力とジョージア州営電力公社、およびダルトン市営電力がそれぞれ30%、22.7%、1.6%を所有する。建設工事はサザン社のもう1つの子会社であるサザン・ニュークリア社が監督し、完成原子炉の運転も担当する計画。米エネルギー省(DOE)は2010年2月、同計画に対して合計83億3,000万ドルの政府融資保証適用を約束しており、3、4号機はそれぞれ、2017年と2018年に送電開始する予定だった。
最新のスケジュールによると両炉の完成予定年は2019年と2020年で、WH社はこれには約25億ドルの追加経費が必要と試算。ジョージア・パワー社は、WH社に契約上の財政責任を取らせるとともに、東芝には親会社としての保証を請求するため、あらゆる手段を講じると明言している。ロイター通信などの未確認情報によると、ジョージア・パワー社らが東芝に要求することで合意した債務保証額の上限は約36億8,000万ドル。東芝の財政的な窮状を配慮して3年以上かけて支払えるようにするというが、まだ最終決定したわけではない。この取引ではまた、サウスカロライナ州で同様にWH社製AP1000を2基、建設中のスキャナ社が、東芝と同様の合意に達することが条件だと見られている。