米規制委、ノースアナ3号機増設計画への建設・運転一括認可発給を決定

2017年6月1日

 米原子力規制委員会(NRC)は5月31日、バージニア州リッチモンド近郊のノースアナ原子力発電所における3号機増設計画に対し、建設・運転一括認可(COL)を発給することを承認した。140万kW級のGE日立ニュークリア・エナジー(GEH)社製ESBWR(高経済性・単純化BWR)を1、2号機に隣接して増設するというドミニオン・バージニア・パワー社の申請に対し、NRCスタッフは安全性と環境影響の両面から評価。その結果をNRC委員が、規制上適切であるとして表決承認したのを受け、新原子炉局は数日以内にCOLを正式に発給する。NRCはこれまで18件・28基分のCOL申請を受理したが、このうち7件・12基分に対してCOLが発給されたことになる。

 ドミニオン社は昨年4月、バージニア州の公益企業委員会(SCC)に提出した統合資源計画の中で、無炭素発電に重点を置いた設備の追加プランを取った場合、ノースアナ3号機が利用可能になる最短日程を2028年9月と明記していた。SCCは3号機の建設と運転を許可する権限を持っているが、州の法務局は翌5月、同増設計画の課題点についてまとめたSCC向け報告資料で、資金調達コストも含めた3号機の開発コストが193億ドルに急増したことを指摘。2008年以降、天然ガスと電力卸売価格が低下したのにともなうもので、3号機で見積もられた資本コスト13,283ドル/kWは、新しいコンバインド・サイクル発電所の10倍近くなるとの懸念を示している。現地の報道によると、見積コストのこうした上昇により、消費者グループが環境保護団体とともに増設計画に反対しており、SCCは今のところ建設を承認していない模様。ドミニオン社の社長兼CEOも、次のステップとしては今後さらなる評価作業を継続して決定すると述べたことが伝えられている。

 ドミニオン社は2007年11月、ESBWRの採用を想定した増設計画のCOL申請書をNRCに提出した。GEH社との契約条件が折り合わなかったとして2010年に採用設計を三菱重工製US-APWRに変更したが、NRCによるESBWRの設計認証(DC)審査が大きく進展したことから、2013年に改めてESBWRを採用。翌2014年9月にESBWR設計のDCが発給された。増設計画の安全性はNRCの原子炉安全諮問委員会(ACRS)が独自に審査を行っており、NRCスタッフが作成した安全性評価報告書(SER)についてもレビュー。国民の健康と安全をリスクにさらすことなく、3号機を建設・運転することが可能との結論を2016年11月にNRC委員長に提出した。環境影響に関しては、2010年2月にNRCスタッフが環境影響声明書(EIS)の最終版を発行していた。今回のCOL発給決定に際し、NRCは以下の2点を条件として付記。すなわち、(1)過酷事故の影響緩和戦略と使用済燃料貯蔵プールへの水位計設置など、福島第一事故後の追加要件を満たす具体的アクションを取る、(2)同事故の教訓を考慮した緊急時計画と手順について起動前スケジュールを提示する--である。