米下院委員会、ユッカマウンテン処分場計画の維持法案を超党派で可決
米国議会下院のエネルギー・商業対策委員会は6月29日、商業炉から出る使用済燃料の処分責任をエネルギー省(DOE)に義務付けた放射性廃棄物政策法(NWPA)の修正法案(H.R.3053)を49対4で可決した。民間ベースも含めた中間貯蔵のイニシアチブを許可しつつ、ネバダ州ユッカマウンテンで使用済燃料と高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分場を建設することは、廃棄物処分の最も迅速な道筋であるとの認識から、同サイトで建設する可能性の維持を目的としたネバダ州への財政支援策などを明記。連邦政府による処分義務の履行を一層確実にするため、現行のNWPAに実務的な修正を加えたもので、今後は下院本会議で審議されると見られている。ユッカマウンテンでの最終処分場建設計画は、B.オバマ前大統領の民主党政権が2010年に打ち切り決定したのにともない、DOEも原子力規制委員会(NRC)に提出していた建設認可申請を取り下げた。しかし、今年1月にD.トランプ政権が発足し、議会が与党・共和党が多数派になったほか、同計画に強硬に反対していたネバダ州選出のH.リード上院院内総務も引退。同大統領は議会に提出した2018会計年度の予算教書の中で、同サイトでの建設認可審査活動の再開と中間貯蔵プログラム開始のために合計1億2,000万ドルの予算措置を提案した。DOEのR.ペリー長官も、就任した数週間後にユッカマウンテンを視察するなど、トランプ政権は同サイトでの最終処分場計画復活に大きな意欲を燃やしている。
NWPAが最初に成立したのは1982年のことで、同法の条項に従い原子力発電事業者は原子力による販売電力1kWh当たり0.1セントを電気料金に上乗せして顧客から徴収。最終処分場建設プログラムのために連邦政府の放射性廃棄物基金(NWF)に払い込みを行う一方、DOEはこれら廃棄物を最終処分する責任を負い、1998年1月までに各原子力発電所から使用済燃料の引き取りを開始することになっていた。今回の修正法案は共和党のJ.シムカス議員が提案したもので、主な修正点として以下の説明を行っている。すなわち、
・顧客がこれまでNWFに払い込んできた投資金を守るため、NWFのメカニズムを改革する。また、最終処分場プログラムへの資金調達が、複数世代間で長期的に可能になるよう保証する。
・民間の中間貯蔵施設に使用済燃料を貯蔵する際、あるいは発電所敷地外で監視付き回収可能貯蔵する集中貯蔵施設を独自に開発する場合、DOEには連邦政府以外の業者と契約を交わす権限が与えられる。これらの施設は、NRCの許可に加えて、地元の州政府と自治体および影響を受けるインディアン部族の承認を得なくてはならない。
・中間貯蔵施設や最終処分場など、放射性廃棄物管理システムを受け入れる州への財政支援策に取り組むこととし、地元の関係者は当該修正法が許可した活動の影響緩和に関して、連邦政府と直接関わりを持つことを許可される。また、DOEはネバダ州の学術機関と優先的に連携し、使用済燃料の将来的な経済的価値を同州のために留保。使用済燃料とHLWがサイトに到着し次第、ネバダ州に直接資金提供できるようにする。
・ユッカマウンテン最終処分場の許認可において障害が発生する可能性を排除するため、サイトとなる区域を採鉱などの一般利用から永久に除外して接収し、連邦政府所有地として法制に則って利用する。
・中間貯蔵施設や最終処分場への輸送のため、使用済燃料を引き取った時点でDOEはその所有者としての責任を負う。