世界初のAP1000、中国で建設工事が最終段階へ
中国で第3世代原子炉技術の習得・国産化を担当する国家核電技術公司(SNPTC)は7月24日、ウェスチングハウス(WH)社製の次世代型PWR設計「AP1000」を採用した三門原子力発電所1号機(125万kW)の建設工事で、燃料装荷前の包括的安全検査が21日に成功裏に完了したと発表した。環境保護部副大臣や国家核安全局(NNSA)局長を始めとする検査チームが17日から同発電所を訪れ、1号機の土木建築工事や機器の据え付け、起動その他のプロセスなどを全面的に検査(=写真)。建設工事と燃料装荷前段階における品質保証作業は概ね有効であり、安全関係の活動も管理された状態にあると結論付けた。浙江省に位置する同発電所の建設は三門核電有限公司が担当しており、中国核工業集団公司(CNNC)傘下の中国核能電力股分有限公司(CNNP)が51%を出資。Ⅰ期工事にあたる1、2号機はそれぞれ、2009年4月と12月に本格着工しており、どちらも世界初のAP1000として2018年に営業運転を開始できると見られている。中国におけるその他のWH社製AP1000としては、山東省の海陽原子力発電所で1、2号機(各125万kW)が2009年9月と2010年6月にそれぞれ正式着工した。国家電力投資集団公司(SPIC)傘下の山東核電有限公司が担当しており、SNPTCを含む6社が出資している。SNPTC傘下の上海核工程研究設計院(SNERDI)の発表によると、7月14日に海陽2号機の格納容器で始まった構造健全性試験と集中漏洩率試験が21日に無事に完了しており、どちらにおいても品質要件を満たしていることが判明したとしている。三門と海陽の4基については2013年、使用予定だった原子炉冷却材ポンプ(RCP)で羽根車の脱落と言った不具合が見つかったため、製造元である米国カーチス・ライト社の子会社に一旦返品された。その後、同社とWH社および中国側が協力してRCPの設計を変更。2015年には最終性能検査と検査後点検が完了している。また、これら4基用のタービンローター16本はすべて、三菱重工業が2013年に納入したものである。