ポーランド、原子炉建設で中国と協力する可能性を協議
中国広核集団有限公司(CGN)は7月24日、ポーランド政府代表団が9日~15日まで中国の複数のCGN施設を視察したのに合わせ、両国が14日に民生用原子力分野における協力覚書に調印したと発表した。ポーランドが進めている原子力発電所導入プログラムや、原子力技術国産化計画への協力を含め、将来にわたって戦略的パートナーとなる道を模索するという内容。ポーランド・エネルギー省のA.ピオトロフスキー副大臣と中国国家能源局の李凡栄副局長が、北京で会談した後に署名した。同副大臣は、1990年代に中国では商業炉が3基しかなかったにも拘わらず、2000年代に入って33基が新たに運転開始した事実に言及。中国がさらに、西側の技術に基づいて国産の輸出用第3世代設計「華龍一号」を開発し、パキスタンや英国への輸出を進めていることなどから、中国を原子力導入プログラムの協力国の選択肢に含めたことを示唆した。ポーランドは2009年の開発ロードマップで合計600万kWの原子力発電設備建設を目指すとしており、日本の原子炉メーカー3社も高い関心を示していたが、2015年に発足した新政権は、現行の原子力導入プログラムには経費がかかりすぎると述べ、適正な資金調達モデルの構築を含めた見直し作業を開始。高温ガス炉(HTR)による熱電併給も商業的に有望と認識しており、大型炉建設と並行してHTR技術を導入する実行可能性も調査中である。ポーランド・エネルギー省の発表によると、副大臣を団長とする代表団はまず、CGNの研究センターを訪問し、原子炉の建設や運転・保守に使われる近代的なモデリング・ソフトの説明を受けた。次に、香港から直線距離で約50km地点に位置する大亜湾原子力発電所、およびCGNが隣の広西省で開発中の防城港原子力発電所を訪れて、「華龍一号」の実証炉プロジェクトと位置付けられている防城港3、4号機(各115万kW)の建設工事を見学した。また、広州にある東方電気集団の原子炉機器生産工場、通信機器やスマート・グリッドの製造企業である華為(ファーウェイ)技術公司を深圳で訪問したほか、北京の清華大学で2003年から稼働する熱出力1万kWのHTR実験炉を視察した。
ポーランド政府は2014年に原子力導入プログラムの開発ロードマップを改定しており、2009年版から全体的に日程を4~5年先送りして、最初の100万kW分は2024年末までに完成させるとしていた。CGN側の発表によると、今回、ポーランドは導入初号機を2030年末までに、2号機は2035年に完成させると述べた模様。また、HTRについては日本原子力研究開発機構(JAEA)が今年5月にポーランド国立原子力研究センター(NCBJ)と協力覚書を締結しており、同国が熱出力1万kWの研究用HTRを2020年代後半に、熱出力20~35万kWの実用HTRを2030年代前半に運転開始予定であることを明らかにしている。