米V.C.サマー増設計画でオーナー企業が東芝の親会社保証額で合意

2017年7月28日

 米サウスカロライナ州のスキャナ社とサンティー・クーパー社はウェスチングハウス(WH)社製「AP1000」設計を採用したV.C.サマー原子力発電所2、3号機増設計画を進めているが、7月27日付け発表の中で、WH社の親会社として東芝がスキャナ社と結んでいた保証契約に基づき、これら2社と東芝が保証上限額で合意したことを明らかにした。同プロジェクトのエンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約を受注したWH社が3月に再建型の倒産を申請したのにともなう措置で、今年の10月以降、2022年9月までの期間に合計21億6,800万ドルが分割で支払われるという内容。この合意により、同プロジェクトの建設費が保証上限額を超えた場合でも、東芝が追加で費用請求されることはなく、逆に実際の建設費が保証額を下回った場合は差額の一部が東芝に返金されるとしている。

 同プロジェクトでは、スキャナ社の100%子会社であるサウスカロライナ・エレクトリック&ガス(SCE&G)社が55%出資する一方、サンティー社は残りの45%を出資。このため、両社の受取額はそれぞれ、11億9,200万ドルと9億7,600万ドルになるとした。また、この親会社保証は、計画どおり2基とも完成させるか1基のみとした場合、あるいは全面放棄となっても支払われる予定。WH社の再建手続においてスキャナ社が回収できた金額は、東芝の保証上限額に充当されることなる。オーナー企業の2社は現在、同プロジェクトの先行きについて最も慎重なオプションを特定するため、WH社との「中間評価協定」期間を8月10日まで延長した。関連情報を注意深く分析・検討しつつ、サイトではWH社の主要受託業者であるフルアー社に毎週賃金を支払って建設作業を続けさせている。両社の発表によると、2基とも完成させる場合にEPC契約額を超えて必要となる経費は、実質的にWH社の当初見積額と東芝による親会社保証額を超える見通し。その上、発電税の控除を受けるためには、2021年1月1日までに2基とも送電可能な状態にする必要があるが、現時点でそれは難しいと見ている。このため両社は、これらのファクターや将来的な電力需要も考慮して、早急に最終判断を下す考えだ。

 一方、WH社が同様にジョージア州で受注したボーグル原子力発電所3、4号機増設計画については6月9日、子会社のジョージア・パワー社を通じて45.7%出資するサザン社、およびその他の地元出資企業に対し、東芝が親会社保証として合計36億8,000万ドルを2021年1月まで分割払いしていくことで合意に達した。初回の支払は今年10月で、金額は3億ドルが予定されている。建設作業関連では、ジョージア・パワー社とサザン社のもう一つの子会社であるサザン・ニュークリア社が今年5月、WH社とオーナー企業間で新しい「サービス協定」を締結して、同プロジェクトの管理業務をWH社から引き継ぐとの方針を表明。ニューヨーク南部区域破産裁判所は7月20日付けで、このサービス協定と、プロジェクト管理業務を含むいくつかの未履行契約の引き継ぎ、およびWH社が現行のEPC契約を放棄することを承認した。「サービス協定」では、オーナー企業がWH社からプロジェクトに必要なエンジニアリングと資材調達のほかに、許認可関係の支援を受けることと、WH社の知的財産権を利用可能とすることなどが盛り込まれた。また、プロジェクトの最終オプションを分析・検討する「中間評価協定」の期限も、差し当たり7月20日とされていたが、その後の期間延長に関する発表はまだない。