ウクライナ:建設中の使用済燃料中間貯蔵施設がコールド試験段階に

2017年8月8日

©ホルテック・インターナショナル社

 米国の内外で放射性廃棄物貯蔵施設の開発を請け負っているホルテック・インターナショナル社は8月3日、ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所で建設中の使用済燃料中間乾式貯蔵施設(ISF-2)(=写真)に対し、同国の国家原子力規制検査庁(SNRIU)が1日付けで統合システム試験の実施許可を発給したと発表した。同発電所では現在、閉鎖済みの1~3号機(80万~100万kWのRBMK)の使用済燃料集合体21,000体と追加吸収材2,000個をサイト内の湿式中間貯蔵施設(ISF-1)と冷却プールで保管中だが、これらの長期的な貯蔵能力には限界があるため、欧州復興開発銀行(EBRD)は1997年に乾式貯蔵プログラムを開始した。ホルテック社は2007年から、ISF-2の建設工事を国営チェルノブイリ発電所・運営専門会社(ChNPP)から請け負っており、今年12月の起動前ホット試験実施に先だち、同施設の建設工事はいよいよ、コールド試験段階に正式に移行。2018年3月には、燃料の搬入を開始できるとしている。

 ISF-2施設は、廃棄物のパッケージングと貯蔵準備を行う設備(ISFPS)と廃棄物を実際に貯蔵する設備(SFSZ)で構成されており、ホルテック社の説明によれば、二重壁構造のキャニスターを水平定置するコンクリート製の貯蔵モジュールは、廃棄物を不活性ガスの環境下で100年間保管できるという。RBMKの使用済燃料を切断する設備としては世界最大級の大きさで、工事に際して既存の処理建屋内に放置されていた古い機器や設備は最新鋭のシステムに刷新。冷却プール内の使用済燃料を乾式貯蔵する上で不可欠な脱水システムを始め、数多くの最新技術を活用したと強調した。建設費については、旧ソ連製原子力発電所を運転する中・東欧諸国向けの安全支援策としてEBRDが管理している「原子力安全支援基金(NSA)」から一部を拠出。また、1996年にウクライナ政府とChNPPは、ISF-2を含めたチェルノブイリ発電所の廃止措置関連施設について、建設資金の調達協定をEBRDと締結した。欧州各国のみならず、日本やロシア、米国、カナダなども資金を拠出している。