米国のボーグル増設計画で3号機に最初の蒸気発生器を据付け
米ジョージア州のA.W.ボーグル原子力発電所で3、4号機(各PWR、110万kW)の増設計画を進めているジョージア・パワー社は8月16日、最初の蒸気発生器(SG)を3号機の原子炉系統部に据付けたと発表した。ウェスチングハウス(WH)社製AP1000を採用した同プロジェクトは、米国で約30年ぶりという新設計画の1つ。同様にAP1000を採用したサウスカロライナ州のV.C.サマー2、3号機(各PWR、110万kW)増設計画では、WH社の倒産申請を受けて、事業者は7月末に2基とも完成を断念すると発表している。ボーグル増設計画の先行きについては現在、完成までのコストとスケジュール、および計画放棄した場合の経費を包括的に再評価する作業が行われており、ジョージア社の親会社であるサザン社は今月2日、「8月中に方針を決めて州の公益事業委員会に提案を行う」と明言。主要な大型機器であるSGの据付けが行われたことで、少なくとも3号機に関しては完成に至るのではとの観測が広がっている。ボーグル増設計画では連邦政府が83億3,000万ドルの融資保証を適用しており、全体的な建設進捗率は今年5月時点で66%。工事を継続した場合、3号機の完成予定は2021年2月~2022年3月、4号機は2022年2月~2023年3月となっている。2008年にWH社が同計画のエンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約を受注した際、東芝は親会社保証契約をジョージア・パワー社などの出資企業4社と契約しており、これに基づき今年6月、最大36億8,000万ドルの親会社保証金を2021年1月まで出資企業に分割払いしていくと発表した。現場の建設作業に関しては、WH社と出資企業間で新しい「サービス協定」が締結され、WH社が現行のEPC契約を放棄することや、プロジェクトの管理業務を含むいくつかの未履行契約をジョージア・パワー社、およびサザン社の原子力発電子会社であるサザン・ニュークリア社がWH社から引き継ぐことが決定している。
1基に付き2台装備するというSGの最初の据付けは、7月末に「サービス協定」が発効して以降に初めて行われた大がかりな吊り込み作業で、長さ80フィート(約24m)、重さ約140万ポンド(約635トン)のSGは韓国の斗山重工が原子炉容器とともにWH社から受注したもの(=写真)。先頃、4台のSGが海路で韓国から大西洋岸のサバンナ港に運ばれた後、鉄道で北部ウェインズボロ近郊の建設現場まで移送されていた。WH社が倒産申請した後も現場では間断無く工事が続けられており、今回のSG据付のほかに重さ85,000ポンド(約39トン)という蓄圧タンクの最初の1台や、KQ22とKQ23の両モジュールが3号機の格納容器内に設置済みとなっている。