カナダ原研、SMR実証炉の国内建設について15件以上の関心表明

2017年8月21日

 カナダ原子力研究所(CNL)は8月16日、カナダ国内における小型モジュール炉(SMR)開発、および同技術の商業化にCNLが果たす役割についての「関心表明提出要請(RFEOI)」に対し、70以上の企業・組織から反応があったほか、このうち15件以上の関心表明書がCNLサイト内でのSMR原型炉、あるいは実証炉建設に関するものであったことを明らかにした。CNLは今年4月に公表した今後10年間の「長期戦略」の中で、2026年までにオンタリオ州にあるCNLのチョークリバー・サイトで、新しいSMRを建設するとの意欲的な目標を提示。SMR産業界の主軸となる可能性のある幅広いステークホルダーから、こうした目標に即した反応が得られたということは、支援提供に関する強力な意思が示されたものと述べた。CNLは今後数か月間で関心表明書の分析と審査を行い、主要な事項を報告書に取りまとめてウェブサイトに公開する方針。年内にもSMR原型炉か実証炉の初号機について包括的な許認可プロセスを開始したい考えだが、初期段階でもあることから可能性のあるすべてのSMR技術を対象に含めるなど、公平な活動を行うとしている。

 CNLは2014年、カナダ原子力公社(AECL)の研究所機能をすべて引き継いで設立されたAECLの完全子会社。設備の管理と運営は民間セクターが請け負っており、SMRのような有望技術について開発と商業化の支援が可能という特殊な立場にある。SMRの開発コミュニティとして、世界でも中心的存在となることがCNLビジョンの1つであることから、同技術の推進に対する産業界の関心を一層深く理解し、SMRを市場に投入する際にCNLが果たす役割についても協議するため、参加可能な自治体や組合、原子力サプライ・チェーン、研究開発・学術機関も含めて、潜在的可能性のある開発業者やエンド・ユーザー、およびその他のステークホルダーから、今年6月1日から7月末までの期間に関心表明書を募集。SMRの開発・建設でCNLが主要パートナーとして機能できるよう、現在の技術的能力や不足部分、ニーズと要件に加え、市場全体としての関心も把握することになっていた。

 CNLによると、SMR技術が従来の大型炉に取って代わるかもしれないとの認識は過去10数年の間に次第に高まりつつあり、カナダでは特に、遠隔地域や工業地帯でSMRの生み出すクリーン・エネルギーに需要がある。モジュール方式で購入・建設できる点や、シンプルな発電所構造により初期投資額を減らせること、従業員も少なくて済むといった点で従来技術より優れているほか、設計面ではシステムが固有の安全性を有し、効率性も高くなっているとした。さらに、発電のみならず、熱電供給や地域熱供給、エネルギー貯蔵、脱塩、水素生産などの様々な適用方法により、エネルギー計画に統合することができるとしている。