米デューク社、建設・運転認可取得済み計画の取り消しを州に要請
米デューク・エナジー(DE)社の子会社であるDEカロライナ社は8月25日、ウィリアム・ステーツ・リー原子力発電所1、2号機としてウェスチングハウス(WH)社製AP1000を2基建設する計画の取り消しを承認するようノースカロライナ州の公益事業委員会に要請した。管轄区域における電気料金改定申請の中で明らかにしたもので、WH社による今年3月の倒産申請、および市場におけるその他の状況から見て、同計画の実施にともなうリスクと不確定要素はあまりにも大きく、顧客にとって最良のオプションとは言えないと判断した。南北の両カロライナ州で信頼性のあるクリーン電力供給にコミットする同社にとって、原子力が将来的にも重要な電源構成要素の1つであることに変わりは無く、原子力規制委員会(NRC)が2016年12月に発給した同計画の建設・運転一括認可(COL)は、将来的に建設計画の実行が顧客の利益になると判断される時まで温存するとしている。
WH社が倒産状態から脱却するまでの間、DEカロライナ社としてはCOL保有者向けのエンジニアリング支援やAP1000の知的財産権をWH社から得る方法はあると確信していた。しかし、その支援のレベルや取引条件、あるいはWH社がAP1000技術を他社に売却する可能性といった様々な不確定要素を考慮した結果、今回の結論に至ったと述べた。両機がサウスカロライナ州チェロキー郡で完成した場合、同社は南北の両カロライナ州に電力を供給する計画だったが、今後は、COLの取得手続やサイトの初期開発等に投資した資金を回収するため、年間約5,300万ドルを12年にわたって回収していく道を模索する考えだ。
NRCがこれまでにCOLを発給した7件・12基の建設計画のうち、A.W.ボーグル3、4号機(AP1000×2基)とV.C.サマー2、3号機(AP1000×2基)の増設計画のみが着工にこぎ着けた。ただし、サマー計画の事業者は7月末、追加経費の高騰を理由に2基とも完成を断念する方針を公表している。一方、レビィ・カウンティ1、2号機(AP1000×2基)建設計画と東芝が受注したサウステキサス・プロジェクト3、4号機(ABWR×2基)増設計画は、建設期間中のコスト回収問題や電力需要の低迷等の理由により、締結済みだったエンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約が解除された。ESBWR(高経済性・単純化BWR)を採用したフェルミ3号機増設計画については、事業者のデューク・エナジー社が2016年、「建設実施の判断は下しておらず、長期的選択肢として保留しておく」方針を表明。同じくESBWRを想定して今年5月にCOLが発給されたノースアナ3号機増設計画では、事業者のドミニオン社が「今後さらなる評価作業を継続して決定する」と述べたことが伝えられている。