IAEAの低濃縮ウラン備蓄バンクがカザフで完成

©NTI
核燃料を多国間で管理するシステムの構想は、2003年に当時のM.エルバラダイIAEA事務局長が初めて提唱した。IAEAのLEUバンクは、商業市場や既存ルートによるLEU供給が途絶した場合の最終手段として、IAEAの適格性基準を満たした加盟国のみが利用可能。一般的な軽水炉の燃料製造に適したLEUを最大90トン備蓄する予定で、2010年12月にIAEA理事会が同バンクの設置・操業計画を承認した後、カザフ政府が2011年7月にホスト国になることを提案した。貯蔵施設の建設は、カザフ北東部、かつてウスチ・カメノゴルスクと呼ばれていたオスケメン市にあるウルバ冶金工場(UMP)で2016年9月から開始され、当初の日程通りかつ予算の範囲内で完成。総面積880平方メートルの鋼製設備で、安全・セキュリティ上、堅固な対策が施されたという。バンクの経費は任意の拠出金によって賄われており、設立とその後20年間の運営費として、米国の民間団体「核脅威イニシアチブ(NTI)」、米国、欧州連合、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、ノルウェー、およびカザフが合計1億5,000万ドルを拠出。天野事務局長は、これらの国に感謝の言葉を述べるとともに、IAEAの予算と活動には何ら影響がない点を強調した。また、バンクからLEUを輸送する際、通過国となる中国とロシアがIAEAと協力協定を結んだことに対しても、謝意を表明している。