加チョークリバーでLLW浅地中処分場計画の許認可手続が進展
カナダ原子力安全委員会(CNSC)は8月31日、カナダ原子力研究所(CNL)がオンタリオ州チョークリバーで進めている低レベル放射性廃棄物(LLW)の浅地中処分場(NSDF)建設計画について、環境影響声明書(EIS)案の技術評価を完了したと発表した。関係する連邦政府機関などから得られた200件以上のコメントや情報要請を反映しつつ評価作業を行った結果、追加情報その他の技術文書を提出する必要がある分野を特定したもの。CNLは、それらのコメントすべてに対処した上で最終版のEISを作成する予定で、2018年1月にCNSCへの提出を目指すとしている。CNLは2014年、カナダ原子力公社(AECL)の組織改革にともない、その研究所機能をすべて引き継いで設立されたAECLの完全子会社。首都オタワの北西約200kmに位置するチョークリバー研究所(=写真)の敷地内で2020年にもNSDFの操業を開始し、少なくとも50年間、最大100万立方メートルのLLWを浅地中に埋設する計画だが、これらの廃棄物の95%はAECLの閉鎖済み施設の廃止措置や環境修復で発生するデブリ、カナダ政府がその他のサイトで実施する廃止措置活動の廃棄物、過去65年以上サイトで保管されていた古い廃棄物などで、1970年代初頭までに閉鎖されたダグラスポイント原子力発電所やジェンティリー1号機といったCANDU炉原型炉の廃止措置デブリも含まれる。また、これに加えて、病院や大学、研究施設などの廃棄物も5%以下の割合で引き受けるとしている。主に、コンクリート片やレンガ、構造用の鋼材、鉄筋、木製の支持構造物といった固体廃棄物と最小限の中レベル廃棄物で、これらをマウンド状に積み上げた上部に覆土していく方針。排水処理プラントが併設されることも、NSDFの特徴となっている。
カナダではこのほか、商業炉から出る使用済燃料の深地層処分場建設サイトを核燃料廃棄物管理機関(NWMO)が選定中である一方、低・中レベル廃棄物に関しては、国内19基の商業炉中18基を所有するオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社がブルース原子力発電所の隣接区域で深地層処分場建設計画を進めている。
NSDFの建設に向けた環境影響評価関係のパブリック・コメントは、2016年5月にCNLが募集を開始した。現在の開発スケジュールによると、第一段階としての6つの廃棄物貯蔵室を2020年までに完成させるのに続き、残り4つの建設も2040年に開始する。2070年に廃棄物の受け入れを終了した後は2100年までモニタリングと監視を行い、300年間の管理期間をスタートさせる計画だ。コストについては、第一段階の設計・許認可・建設で2億1,500万カナダドル(約192億円)かかるほか、第2段階で1億1,000万ドル(約98億円)とCNLは試算。これに50年間の施設操業とサイトの閉鎖に要するコスト、およびモニタリングと監視の期間に発生するコストとして2億7,500万ドル(約246億円)を加算すると、総経費は6億ドル(約537億円)にのぼるとしている。