フィンランドのTVO、仏アレバ社の再建計画に関しECの承認を上訴
今年1月に欧州委員会(EC)が仏アレバ社再建計画の一環として、仏政府による合計45億ユーロ(約5,900億円)の公的資金投入プランを承認したことについて、フィンランドのティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は9月13日、欧州司法裁判所に上訴したことを明らかにした。TVOは2003年12月、アレバ社と独シーメンス社の企業連合にオルキルオト原子力発電所3号機(OL3)(172万kW、PWR)の建設計画を発注したが、作業の遅れにより工費が大幅に増加したためアレバ社とは賠償請求裁判で争っている。しかし、アレバ社が原子炉事業部門「アレバNP社」の子会社として「ニューNP社」を発足させ、フランス電力(EDF)に売却する取引においては、OL3関係など問題のある契約はすべて除外され、アレバNP社内に留め置かれる計画だ。このため、今回の訴状のなかでTVOは特に、「アレバ社への現在の資金投入プランでは、OL3建設プロジェクトでTVOが必要とする財政的、技術的、および人的資源が十分に確保されない」と主張。プロジェクト最終段階におけるすべての負債を、アレバ社が将来的に支払っていけるかについても、このプランから保証は得られないとの見解を示した。当初は2009年に完成予定だったOL3の最新スケジュールでは、TVOが運転認可を2018年初頭に受領した後、同年末に営業運転を開始する予定。TVOとしては今回の上訴の主要目的は、アレバ社らが契約上の義務事項に沿って現在のスケジュール範囲内でOL3を完成させることだと強調している。
アレバ社の再建計画では、1株あたり4.5ユーロ(約590円)の同社株発行を通じて、仏政府が同社に20億ユーロ(約2,624億円)、原子炉部門売却後に残る燃料サイクル部門を統合して創設した子会社(仮称「NewCo」)には25億ユーロ(約3,280億円)を投入することになっている。ECはこの財政支援プランをEU競争法(EU機能条約)に照らして精査した結果、EU単一市場における競争原理を過度に歪めることはなく、国家補助規則に適合していると裁定。これと同時に、公的資金の投入前までにアレバ社で必要となる流動資金として、仏政府が同社に33億ユーロ(約4,329億円)の融資を行うことも承認していた。TVOとしては、アレバ社製・欧州加圧水型炉(EPR)設計を採用したOL3の完成という点において、同社がアレバ社を頼みとする顧客の1人であると強調しており、これまで通り、健全で競争力のある仏国の原子力部門と共に働きたいと明言。OL3計画に対して全面的な配慮がなされていれば、原則的に仏政府がアレバ社に好意的な介入を行うことに反対はしないが、現状ではそうなっていないと訴えている。