中国の核工業公司、進行波炉開発で石炭大手の神華集団と投資協力協定
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©CNNC
TWRは劣化ウランや天然ウランを燃料とする次世代型の高速炉で、冷却材には液体金属ナトリウムを使用。少なくとも40年間は、燃料交換や使用済燃料の搬出なしで運転を継続することができると言われている。CNNCの発表によると、既存の軽水炉では天然ウラン中に0.7%しか存在しないウラン235を濃縮して使用する一方、TWRであればウラン資源の30~40%、さらには60~70%利用することも可能になる。ウラン濃縮と使用済燃料再処理のニーズを大幅に削減することで、発電コストのみならず環境上、核拡散上のリスクにともなうコストも低減できると強調している。
進行波炉の有用性は、マイクロソフト社の創業者として知られるビル・ゲイツ氏も注目しており、同氏が後援する米国の原子力開発ベンチャー企業、テラパワー社も2006年からTWR開発を進めている。この関係で、同社とCNNCは2015年9月、原型炉の共同開発で協力するための了解覚書をワシントン州で締結した。CNNCは今回の発表の中で、王寿君・会長を団長とするCNNC代表団が7月下旬にテラパワー社を訪問していたことに言及。合弁事業体を設立する可能性も含め、共同作業の実施分野を特定すべきとの協議がゲイツ氏との間で行われたことを明らかにしている。