フィンランドのオルキルオト3号機、営業運転開始日程がさらに遅延
2005年からフィンランドでオルキルオト原子力発電所3号機(OL3)(172万kW、PWR)を建設中のティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は10月9日、同炉の営業運転開始スケジュールがさらに遅れ、2019年5月になるとの見通しを明らかにした。建設工事を請け負っている仏アレバ社と独シーメンス社の企業連合が改めて完成スケジュールの見直しを行った結果、2018年末に予定していた本格的な運転の開始を5か月繰り延べることを連絡してきたというもの。建設現場では6月から冷態機能試験を開始しており、今秋から温態機能試験に移行することになっている。
OL3の完成は着工当初、2009年春に予定されていた。しかし、世界で初めてアレバ社製の第3世代設計「欧州加圧水型炉(EPR)」を採用したこともあり、下請業者による土木作業やフィンランド国内の規制手続などに想定以上の時間がかかり、総工費も倍以上に膨らんだ。TVOは、この建設プロジェクトが約30数億ユーロ(約3,985億円以上)という固定価格のターンキー契約だったことと、拡大したコストの賠償責任がアレバ社の企業連合にある点を重ねて強調。完成までに必要となる技術や人材、および資金面で、フランス原子力産業界の再編が同プロジェクトに妥協を強いるようなことがあってはならないと言明した。
同企業連合からの連絡によると、建設工事は大詰めの段階に到達しており、現在の試験フェーズで大きな節目をいくつかクリア。それでも重要な試験がまだ多数残っているため、送電網への初併入は2018年12月に先送りするが、それ以降2019年5月の本格運転開始までに、OL3は様々な出力レベルで合計20億~40億kWhを発電可能だとしている。