韓国大統領、公論化委勧告に基づき新古里5、6号機の建設再開 表明

2017年10月23日

 韓国大統領府は10月22日、「新古里原子力発電所5、6号機の処遇に関する公論化委員会の審議結果に基づき、政府は両炉の建設を再開したい」とする文大統領の見解を公表した。
 同大統領の脱原子力政策により、建設工事と建設準備作業が一時中断されていた両炉について、中立の立場の公論化委員会が無作為に選んだ約500名の市民の見解を3か月かけて集約した結果、「建設再開」を20日付けで政府に勧告したことに対するもの。文大統領が議長を務める24日の閣議で正式決定すると見られている。両炉の作業が再開された場合、同大統領の5年の任期中に新たに4基の原子炉が運転開始することになるが、同大統領は脱原子力関係の公約として掲げたその他の項目、「新規の原子力発電所建設計画の全面白紙化」と「(期間延長して運転継続中の)月城1号機を出来るだけ早期に閉鎖」は実行すると明言。次期政権が脱原子力を基調政策として維持できるよう、天然ガスと再生可能エネルギーの拡大に拍車をかけたいとしている。

 文大統領はまず、韓国民を代表して公論化委で難しい選択を行った市民参加団に謝意を表明した。熟議の過程を経るという適切な手法で答えを見つけ出したこと、反対意見にも配慮して補完的措置を提示したことは、一層成熟した民主主義の規範を示してくれたと高く評価。工事の中止という自らの公約を支持した国民に対しても、公論化委の勧告を尊重し、広い心で受け入れて欲しいとの希望を述べた。その上で、地元住民が安心できるよう、補完的措置として示された「原子力発電所における安全基準の一層の強化や管理の透明性向上」を図っていくと強調。エネルギーの転換政策も、引き続き推進する考えを明らかにした。また、原子力発電所の廃止措置産業で、韓国が海外市場を先取りしていくことを可能にするため、解体研究所を東南圏に設立することを約束している。