米ボーグル増設計画:州の聴聞会でオーナー企業が計画継続提案の概要説明
米ジョージア州でA.W.ボーグル原子力発電所3、4号機(各PWR、110万kW)増設計画を進めているサザン社傘下のジョージア・パワー社は11月8日、4号機における大型モジュールの据え付けなど工事の進捗状況を公表した。また、同計画の今後について、州の公益事業委員会(PSC)が開催する一連の聴聞会の皮切りとなった6日に、オーナー企業による同計画の継続提案について概要説明を行ったことを明らかにした。
ウェスチングハウス(WH)社製AP1000を採用した米国内の新設計画のうち、WH社による今年3月の倒産申請を受けて、V.C.サマー2、3号機(各PWR、110万kW)増設計画のオーナー企業が2基とも完成を断念した一方、ボーグル増設計画の所有権を持つジョージア・パワー社と地元オーグルソープ電力、州営電力(MEAG)、ダルトン市営電力は、全社の一致した見解として計画の続行と両機の完成を8月末にPSCに提案した。PSCは現在、この提案が盛り込まれた第17回・ボーグル建設監督報告書(VCM)を審査しているところで、聴聞会におけるオーナー企業の説明や問答なども勘案して、来年2月頃に最終的な結論を出すと見られている。
複数の聴聞会が開催されるのに先立ち、ジョージア・パワー社のP.バウワース会長・社長兼CEOはオーナー企業全社を代表して所見を述べた。VCMと提案文の提出に当たっては、両機を完成させた場合とキャンセルした場合のコスト、日程等を包括的に分析したとしており、事前のリスクを特定するとともに計画継続の根拠情報も踏まえた統一見解である点を強調。その後の動向により、計画継続にともなうリスクが多少軽減され、PSCに対する提案内容は一層、下支えされたとの認識を示している。
同CEOはまず、関係するファクターをすべて考慮した結果、2基とも完成させることは顧客にとって最良の経済的選択であり、州にも無炭素なベースロード電源による恩恵がもたらされると明言。評価にあたっては確固たる経済分析を行っており、ガス火力発電所への転換も含めた様々な選択肢を検討したほか、東芝がWH社の親会社として約束した保証金の支払いリスク、連邦政府から発電税控除と追加の融資保証が適用される可能性についても考慮したと説明した。
これらの点について同CEOは、提案文を提出した後の動きとして、9月末に米エネルギー省(DOE)から条件付きで約36億ドルの追加融資保証が提案された事実に言及した。また、10月初頭に東芝から分割払いの初回分として3億ドルが支払われたのに続き、11月初頭にも7,750万ドルが支払われたと指摘。このような状況から、連邦政府がこれまでどおり、原子力発電所の新規建設を支援していること、東芝に総額36億8,600万ドルという保証金の支払い義務を果たす意志のあることが分かると強調した。
同CEOは次に、ボーグル発電所における建設現場の状況について説明。過去6か月の間、作業は間断無く続けられており、サザン社傘下の原子力発電子会社であるサザン・ニュークリア社によるプロジェクト管理の下、大手建設業者のベクテル社が日々の建設作業を取り仕切っている。具体的な例としては、9月末に3号機の格納容器に1,800立方ヤード(1,646立方メートル)以上のコンクリートを打設したほか、10月に蒸気発生器の最後の1台を据え付けたことを列挙。作業上の大きな節目を多数クリアするなど、着実に展開している点を強調した。
最新スケジュールでは、3、4号機の運転開始はそれぞれ2021年11月と2022年11月を予定しており、顧客の電気料金への影響は、最大でも10%程度と予測していると同CEOは指摘。現時点でも増設計画関連の影響は5%で、当初予測していた約12%を十分下回っていると明言した。
同CEOはまた、ジョージア州における前向きな規制環境とエネルギー政策のお陰で、ジョージア・パワー社では多様なエネルギー・ミックスの維持が可能になっていると述べた。同社はすでに、ボーグル増設計画関連の5%を含めても、全国平均より14%低い料金でクリーンかつ信頼性の高い安全な電力を販売しており、原子力こそ同社にとって、長期的なエネルギー供給における主力ソリューションであることを確信すると強調。PSCがボーグル増設計画について最良の道を慎重に検討し、ジョージア州民にとって適切な、長期的判断を下すことも信じているとした。