米ドミニオン社、ノースアナ原子力発電所で2回目の運転期間延長申請へ
米ドミニオン・エナジー社傘下のドミニオン・エナジー・バージニア社は11月13日、2003年に運転期間の20年延長を許可されていたノースアナ原子力発電所(90万kW級PWR×2基)(=写真)について、2回目の期間延長を2020年に申請する方針であると米原子力規制委員会(NRC)に伝えた。実現すれば、同発電所の運転期間は運転開始当初に許された40年から、合計80年に倍加することになる。同社は同じバージニア州内で所有・運転するサリー原子力発電所(80万kW級PWR×2基)についても、2015年11月に「2回目の期間延長申請を2019年の春に行う予定」であることをNRCに通達。さらに、コネチカット州で所有・運転中のミルストン原子力発電所(90万kW級と120万kW級、いずれもPWR)についても、2回目の期間延長申請する可能性があることを示唆しており、これらが低炭素な電源を維持するというドミニオン社戦略の一部であり、「安全で信頼性が高く、常時使える電力を今世紀半ばまで継続的に供給し、顧客に恩恵をもたらしたい」との認識に基づくものだと説明している。
米国では現在、30数年ぶりの新設計画がジョージア州で進められているものの、初期投資や建設期間の大幅縮小が可能な小型モジュール炉(SMR)の開発・実用化に向けた活動が活発化。一方、約100基の既存炉については、比較的低コストでクリーン電力の発電設備を維持できる選択肢ということで、すでに86基(うち3基は早期閉鎖済み)に対して、20年の運転期間延長許可が発給された。認可の更新回数に制限規定がないため、事業者の間では近年、2回目の期間延長を検討する動きが浮上。国内最大の原子力発電事業者であるエクセロン社も2016年6月、ペンシルベニア州のピーチボトム原子力発電所(118.2万kWのBWR×2基)について、2回目の運転期間延長申請書を2018年にNRCに提出し、2020年か2021年に最終判断を下す計画であると発表した。NRC側も、国内商業炉で80年間稼働する時代が到来するのを控え、申請書の審査に必要なガイダンスの策定準備を2015年から進めている。
ノースアナとサリーの両原子力発電所は、ともに2003年3月に20年間の運転期間延長許可が下りており、ノースアナ1、2号機は今のところ、2038年と2040年まで運転が可能。サリー1、2号機については、2032年と2033年までとなっている。両発電所で2回目の期間延長が許された場合、これら4基はそれぞれ、2058年と2060年、および2052年と2053年まで運転を継続することになる。ドミニオン社は現在、ノースアナ発電所の運転期間延長にともなうすべての技術的側面を見直し中で、今のところ2020年の申請書提出を妨げる大きな障害は見当たらないと述べた。申請方針の事前表明は、NRCが申請書審査に必要なスタッフを確保する上で必要な手続だが、同社としても運転期間の延長に備えた両発電所のアップグレードで、最大40億ドルの投資が見込まれることを明らかにした。