英国で中国製「華龍一号」設計の認証審査が第2段階に進展

2017年11月17日

英国版「華龍一号」の概念図©ONR

 英国の原子力規制庁(ONR)と環境庁(EA)は11月16日、中国製の第3世代設計「華龍一号」の英国仕様版(UK-HPR1000)について、今年1月に開始した包括的設計審査(GDA)が同日付で正式に第2ステップに進展したと発表した。
 GDAは英国内で初めて建設される原子炉設計について行われる事前認証審査で、「華龍一号」はEDFエナジー社がエセックス州ブラッドウェルで計画中の新設プロジェクトに採用が決まっている。合計4ステップで構成される同審査の準備段階が完了し、第2ステップとして約12か月間の本格的な技術評価作業が始まることになった。
 これにともない、審査活動の管理会社としてフランス電力(EDF)と中国広核集団有限公司(CGN)が設立した合弁事業体「ジェネラル・ニュークリア・システム(GNS)社」は、「華龍一号」に対するパブリック・コメントの募集手続を開始するとしている。審査の開始時から最終的に、ONRから設計容認確認書(DAC)とEAから設計容認声明書(SoDA)が発給されるまで、約5年かかる見通しだ。

 ブラッドウェルB原子力発電所計画で100万kW級の「華龍一号」を2基建設することは、EDFエナジー社が2015年10月、サマセット州ヒンクリーポイントC原子力発電所(HPC)建設プロジェクトへの投資約束をCGNから取り付けた際、付随項目として合意されていた。「華龍一号」は、CGNと中国核工業集団公司(CNNC)双方が開発した第3世代設計を一本化したもので、中国が知的財産権を有する輸出用の主力設計という位置付け。中国では現在、CNNC版とCGN版の実証炉が2基ずつ建設中である。GDA活動にともなう経費はすべてGNS社が負担しているが、CGNは同社に対して66.5%、EDFは33.5%を出資。同計画が最終投資段階に進んだ場合、CGNは同様に66.5%出資して、建設プロジェクトを主導することになっている。

 GDAでは、土木建築から原子炉化学まで17の技術分野にわたって審査が行われ、安全性についてはONRが、環境影響面に関してはEAが担当。対象設計が安全・セキュリティと環境保全、廃棄物管理の側面で英国の厳しい基準を満たしているか包括的に評価する。これまでにONRとEAは、仏アレバ社製「欧州加圧水型炉(EPR)」とウェスチングハウス社製「AP1000」に対し、それぞれDACとSoDAを発給。EPRはEDFエナジー社のHPC建設計画と、サフォーク州のサイズウェルC発電所建設計画に採用される一方、AP1000は、東芝が英国で保有するNuGen社がカンブリア州のムーアサイド発電所建設計画で採用する予定だった。
 また、「日立GE社製UK-ABWR」について進展中のGDAでは、今年中に審査活動が完了してDACとSoDAが発給されると見込まれている。同設計は、日立製作所が英国のホライズン・ニュークリア・パワー社を通じて進めている、ウェールズ地方アングルシー島のウィルヴァ・ニューウィッド発電所計画と、サウス・グロースターシャー州のオールドベリー発電所計画で採用が決定している。