カナダTTI社 ゼロ排出廃棄物管理技術を紹介 福島第一廃炉に貢献できる可能性も

2017年12月8日

  R.ビラクTTI社長

 カナダの環境サービス企業Terralog Technologies Inc.(TTI)は12月8日、スラリー・フラクチャー・インジェクション(SFI)技術を使用したゼロ排出廃棄物管理と処分についてのワークショップをカナダ大使館で行った。
 SFI技術は、ディープウェル(深井戸)による粒状微細物または粘性流体の廃液流の処理プロセスで、低レベルおよび中レベルの放射性廃棄物、自然発生放射性物質(NORM)、汚染土壌、汚泥、炭鉱及びタンク底、汚染された水、および石油掘削や産業廃棄物などさまざまな廃棄物を処分するために使用されている。
 まずTTIのR.ビラク社長が、同社の地質学および貯水池工学など環境管理の専門知識と深井戸処分廃棄物管理の豊富な現場経験に基づき、地層の封じ込め、圧入性の最適化、貯蔵能力の最大化、坑井の確実なメンテナンスの4つの処理制御でゼロ排出の実現を可能としていることを紹介。同社は1996年以来、様々な廃棄物の深井戸処分の設計、運用、管理を行っているとして、カナダ、米国、ノルウェー、サウジアラビア、インドネシアでのSFIプロジェクト運営実績を挙げた。
 さらに同社シニアテクニカルアドバイザーのM.デュシールト博士が、福島第一原子力発電所の廃炉より発生する廃棄物に関し、福島は適切な層状の砂利および頁岩層や海に向かう高勾配など地質的な条件がSFIの処理作業に最適であることを説明。SFIプロジェクト推進の検討に際しては、放射性核種を含む廃液流の廃棄についての実証プロジェクトを行い、液状廃棄物の安全な注入確認後に低中レベルの廃棄物処理で細かく粉砕された固体を評価し、高レベルの封じ込めおよび安全の確実性などについて慎重に検証していかなければならないが、福島第一原子力発電所の廃炉より発生する廃棄物対処の一助になり得るとの考えを示した。