英原子力規制当局が日立GE社のABWR設計を認証
英国の原子力規制庁(ONR)は12月14日、日立製作所がウェールズ地方アングルシー島で建設予定の「英国向けABWR設計(UK-ABWR)」が同国の規制要件をすべて満たしていることを認め、英国内での建設に適していると結論付けた。同国の事前設計認証である包括的設計審査(GDA)で約4年半の綿密な審査活動を終え、ONRが同設計の安全・セキュリティ面について設計容認確認書(DAC)を、環境庁(EA)とウェールズ自然保護機関(NRW)が環境影響面について設計容認声明書(SoDA)を日立GEニュークリア・エナジー社に発給したもの(=写真)。これにより、同島でUK-ABWRを2基建設するウィルヴァ・ニューウィッド(ウェールズ語で「新しいウィルファ」)計画は、実現に向けて大きく前進した。
日立製作所は今後、英国内で所有するホライズン・ニュークリア・パワー社を通じて、原子力サイト許可(NSL)を含むすべての許認可の取得を目指す。NSLの申請書は今年4月にONRに受理されており、19か月にわたる厳格な審査が進行中。初号機の運転開始は、2020年代前半が目標として掲げられている。
GDAは、英国内で初めて採用・建設される原子炉設計に対して義務付けられており、審査範囲は土木建築から原子炉化学まで20の技術分野にわたる。これまでに、EDFエナジー社がサマセット州のヒンクリーポイントC計画で採用した仏アレバ社製欧州加圧水型炉(EPR)、および東芝がNuGen社を通じてカンブリア州西部のムーアサイド計画に採用予定だったウェスチングハウス社製AP1000がGDAをクリア。日立GE社製UK-ABWRのGDA審査は2013年4月に開始され、英国初のBWRとなる同設計が英国の厳しい基準を満たしているか、安全・セキュリティと環境保護および放射性廃棄物管理の側面から審査が行われていた。
ホライズン社は135万kWのUK-ABWRをアングルシー島で2基建設するのに加え、イングランド地方グロスターシャー州南部のオールドベリーでも、同出力のUK-ABWRを2基建設する計画。同社のD.ホーソーンCEOは、両サイトでこれらが完成すれば、今後数十年にわたってクリーンで安定した電力を英国に供給することになると述べた。また、低炭素エネルギーを安定的に大量に生み出せる原子力は、英国のエネルギー・ミックスにおける重要電源である点を強調。ABWRでは確証済みの技術が使われていることや、同社と日立GE社およびGE日立ニュークリア・エナジー社によるチーム連携がスケジュール通りのGDA完了につながったと述べた。
日立製作所の東原敏昭・社長兼CEOは、ホライズン社のプロジェクトで同社が非常に重要な一歩を踏み出したことを歓迎。日立GE社の久米正・社長も、「運転実績を有する第3世代+の原子炉であるABWRが、英国の非常に高い基準を満たしたことは大きな成果だ」とコメント。同プロジェクトのNSL取得に向けてホライズン社を支援していく方針を改めて表明している。