フィンランドのオルキルオト3号機で温態機能試験開始

2017年12月20日

©TVO

 フィンランドのティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は12月18日、同国5基目の商業炉として建設中のオルキルオト原子力発電所3号機(OL3)(PWR、172万kW)(=写真)で温態機能試験を開始すると発表した。
 2005年の着工当時、同炉の完成は2009年春に予定されていたが、世界で初の仏アレバ社製第3世代設計「欧州加圧水型炉(EPR)」ということもあり、土木工事や規制手続などが遅延。TVOは今年10月、最新スケジュールとして2018年末に予定していたOL3の本格運転開始が、5か月先の2019年5月に繰り延べられたと発表していた。建設現場では6月に冷態機能試験を開始したのに続き、試運転の一部でもある温態機能試験の段階に移行。TVOは数か月間かけて一連の試験を成功裏に終え、2016年4月に申請した運転認可の取得につなげたいとしている。

 温態機能試験は、原子炉系統やタービン系統などのシステム全体が設計通り機能することを、プラント・レベルで確認する最初の試験。燃料を装荷せずにOL3の1次系冷却水の圧力と温度を、実際の運転時と同レベルまで徐々に上げていき、様々な圧力レベルの下で試験を実施。冷却水の温度は、原子炉冷却ポンプで発生する熱エネルギーを利用して上昇させるとしている。

同国内の全原子力発電所で部品の品質調査が完了
 なお、フィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)は12月19日、製造過程上の不確実要素による原子炉の安全性を脅かす可能性のある部品は、OL3には使用されていないとの見解を公表した。
 STUKによると、建設工事を請け負っているアレバ社は2016年6月、傘下のクルーゾー・フォルジュ社らが仏国の内外に納めた原子力発電所用部品の中に、完全に確証されていない材料物質を使ったものがあることを察知した。このためSTUKは、フィンランド国内の原子力発電事業者に対して、それぞれの原子力発電所で部品の製造過程を調査するよう要請。OL3においても、クルーゾー社製部品の中にそうした疑いがあったという。

 TVOは今年11月、OL3で実施した調査の最終報告書をSTUKに提出しており、STUKは同報告書に基づき、安全性に影響する部品のすべてについて、製造と据付に関する試験と点検が行われたことを確認。その上で、「OL3に使われた部品の材料物質は十分な品質を有している」と結論づけた。
 TVOはこのほか、稼働中のオルキルオト1、2号機についても、すでに最終調査報告書を2016年秋にSTUKに提出しており、フォータム社も、ロビーサ1、2号機に関する最終報告書を今年の春に提出済み。STUKはこれらの報告書から、稼働中原子炉においても疑わしい機器すべてで再点検が行われ、問題のないことが判明したとしている。