米NJ州の上院が原子力支援法案を再審議
米ニュージャージー(NJ)州議会で前会期に未決となっていた原子力発電所支援法案を、上院議長が新会期開始日の今月9日に「上院877号」法案として改めて環境エネルギー委員会に提案し、25日付けで予算・歳出委員会に送られたことが明らかになった。
支援法案では、電源の多様化とCO2の排出量削減に寄与すると認定された原子力発電所に対し、発電量に応じて追加料金が支払われる「原子力多様性認証(NDC)」プログラムが盛り込まれていた。上院と下院は昨年12月、双方の法案(上院3560号と下院5330号)に関する合同ヒアリングを実施し、これらを全会一致で承認。年頭にそれぞれの本会議で表決される見通しだったが、4日に予定されていた下院審議が大雪のため中止となり、未決のまま会期も終了していた。V.プリエト下院議長(当時)は「環境保護主義者や消費者が法案内容に大きな懸念を抱いている」と述べ、票決にかけない方針を表明していたという。S.スウィーニー上院議長を強力な推進者とする新法案は、2月初旬にも予算・歳出委員会で承認される見通しで、下院でも同様の法案が今月末までに再提案されると見られている。
NDCプログラムは、2016年にイリノイ州とニューヨーク州で承認された原子力発電所支援プログラムと同じく、クレジット取引を通じて追加料金を徴収し、原子力発電所に支払う仕組み。同プログラムにより、NJ州の総電力需要の約4割を賄っている商業炉4基を、早期閉鎖のリスクから開放することを狙っている。これら4基のうち3基を所有するパブリック・サービス・エンタープライズ・グループ(PSEG)は、長期的な運転の継続には財政的支援が必要であり、同社の3基はNDCプログラムの適用を受ける資格があるとの認識を表明している。
NJ州では昨年11月、新会期に向けた下院議員選挙が行われ、今月9日付けで民主党が多数派を占める新たな下院が正式に発足。下院議長が交代したほか、16日には原子力推進派である共和党の前知事に代わって民主党のP.マーフィー氏が州知事に就任した。現地の報道によると、新知事は2050年までに100%クリーン・エネルギーに基づく州経済を実現する計画で、州内の既存の原子力発電所はそうした将来に向けた重要なつなぎ目であると述べた模様。原子力支援法案については、風力や太陽光などのクリーン・エネルギーに対する大規模投資を確実に盛り込めるなら、成立に向けてすべての関係者と協力していく考えだと伝えられている。