中国政府、国有の原子力事業者と専門建設会社の経営再統合 承認
中国・国務院の国有資産監督管理委員会(SASAC)は1月31日、中国核工業集団公司(CNNC)と中国核工業建設集団公司(CNEC)の経営再統合を正式に承認した。
この統合計画は2017年3月、李克強首相が全国人民代表大会における「国有企業再編方針」の中で示していたもの。CNNCが中国広核集団有限公司(CGN)および国家電力投資集団公司(SPIC)と並んで、中国の3大原子力発電事業者の1つである一方、CNECはこれら事業者が手がける様々な原子力発電所建設プロジェクトで建設工事を請け負ってきた。中国では2015年1月、習近平国家主席が提唱した巨大経済圏構想「一帯一路」における重点施策として、原子力発電プラントの輸出加速を決定。このため、1999年にCNNCから分離したCNECを再びCNNCに統合することで、原子力発電所の建設と運転で相乗効果が生じ、中国が海外展開用第3世代設計の主力と位置付ける「華龍一号」の輸出に有効との認識があると見られている。
中国の原子力開発は軍事利用から始まっており、これが第2機械工業部、核工業部と受け継がれていった後、1988年に民生用原子力発電も所管とする中国核工業総公司(CNNC)に改組された。その後、1994年の政府機構再編により、CNNCは行政部門の「国家原子能機構(CAEA)」と研究開発・製造部門の「中国核工業総公司(CNNC)」に分離。1999年にはさらに、原子力発電と核燃料サイクルの研究開発および商業化を担当する現在のCNNCと、原子力関係中心の工事・建設・据付を担当するCNECに分割されていた。
CNECは、傘下に核工業第二二建設公司(CNI22)~第二四建設公司(CNI24)、核工業華興建設公司(HXCC)などの子会社を置いており、これらを通じてこれまでに、CNNCの秦山I期~III期工事、田湾、福清、昌江などの原子力発電所で建設工事を受注。CNNCが「華龍一号」設計の実証炉プロジェクトとして進めている福清5号機計画については、1月29日に圧力容器の据付けが完了したことを公表した(=写真)。また、国外においてはすでに、CNNCがパキスタンで建設したチャシュマ1~4号機の建設プロジェクトに参加した実績がある。CGNの主導プロジェクトでは、大亜湾、嶺澳I期~II期、紅沿河、陽江、寧徳、防城港といった原子力発電所の建設に加え、CGNがフランス電力(EDF)との協力により台山原子力発電所で進めている「欧州加圧水型炉(EPR)」建設計画に参加した。また、ウェスチングハウス社製「AP1000」を採用して建設されている三門(CNNC主導)、海陽(SPIC主導)の両原子力発電所でも、建設工事を担当した。
CNECはさらに、中国の高温ガス炉(HTR)開発を主導する清華大学と協力関係にあり、これに華能集団公司を加えた3者は現在、電気出力20万kWのHTR実証炉を山東省・石島湾で建設中。この関係でCNECは2016年8月、インドネシアにおけるHTR実験炉開発に協力する協定を同国の原子力庁(BATAN)と結んだほか、2017年3月にはサウジアラビアでHTRを建設するための共同フィージビリティ・スタディ実施について、同国の担当企業と協力協定を締結している。