英国立原研、カナダの地層処分用キャニスターでピアレビュー実施へ
英国の国立原子力研究所(NNL)は2月26日、カナダ核燃料廃棄物管理機関(NWMO)が計画中の使用済燃料深地層処分場で使われるキャニスターについて、ピアレビューを行うことになったと発表した。NWMOは現在、カナダ国内の加圧重水炉から出る使用済燃料を地下500mの深地層に処分する施設の建設サイトを選定中で、候補地を5地点に絞り込んだところ。昨年11月に最初のボーリング孔掘削を完了する一方、キャニスターの開発支援も実施しており、銅をコーティングした新しいキャニスター設計の安全性を実証するため、今回、国際的な専門家によるレビューの実施契約をNNLに発注したもの。NNLは2019年3月までの契約期間中、NWMOが支援する学術研究「微生物によるキャニスターの腐食(MIC)可能性研究プログラム」について評価を行い、両者間の協力関係のスタート地点にしたいとの抱負を述べた。
NNLは、深地層処分場の性能に影響をおよぼす微生物学的プロセス、および腐食を引き起こす硫酸塩還元菌の影響をシミュレートするモデリング技術の開発で専門的知見を有しており、それが今回のレビュー受注につながったと説明した。NNLはまた、欧州原子力共同体(ユーラトム)が欧州連合(EU)域内の深地層処分場計画を支援するために進めている「放射性廃棄物処分における微生物学(MIND)」プログラムにも参加中。MINDは深地層処分場の安全性に対する微生物影響の研究プログラムで、EUが域内の研究技術革新プログラムを統合して2014年に開始した「ホライズン2020」計画の一部でもある。
NNLの発表によると、カナダでは2014年に48体の使用済燃料集合体を収納できる鋼製のキャニスターが新たに開発された。電気メッキと冷却スプレーで厚さ3ミリの銅が表面にコーティングされており、銅製の鍛造容器を外郭構造として使った旧製品と比べて、構造上の負荷に対する機械的耐久性が向上した。キャニスターの腐食防止もコーティングの目的の1つだが、無酸素の条件下では、硫酸塩還元菌がMICの原因となる硫化物を発生させる可能性があるという。そのため、硫化物がキャニスター表面に移動して銅を腐食させる可能性について廃棄物管理事業者と規制当局が理解を深め、処分場内の硫化物レベルを学ぶことは非常に重要になると指摘。深地層処分場サイトが決定し次第、NWMOはこれまでに開発したコンピューター・モデルを使って、MICの発生可能性を評価することになるとしている。