米国:年間運転実績評価で全99基中96基が上位2つのカテゴリー
米原子力規制委員会(NRC)は3月5日、国内の商業用原子力発電所における昨年1年間の運転実績評価の結果を公表し、安全・セキュリティ確保の側面で99基中96基までを上位2つのカテゴリーに分類したことを明らかにした。
米国ではNRCの規制枠組である「原子炉監督プロセス(ROP)」に沿って、各原子力発電所事業者は四半期毎にパフォーマンス指標に基づく運転データの提出を義務付けられている。NRCスタッフはそれらの評価結果を各事業者に通達するほか、追加検査が必要と判断したものについては、規定人数の検査官を送るなどの対応を取ることになる。ROPではまず、原子力発電の利用にともなう住民の健康と安全性確保を最大目標に、(1)原子炉安全、(2)放射線安全、(3)テロ等に対する予防措置--という3つの主要な戦略的パフォーマンス分野を特定(=図)。これらを計るため、安全性関連の7つの重要側面について検査している。また、これらの重要側面に影響する分野横断的要素、(1)人的パフォーマンス、(2)問題点の特定と解決、(3)安全性を意識した作業環境--についても、監督を行っている。
今回の年間評価では、99基のうち83基が、NRCの基本検査において安全・セキュリティ上のパフォーマンス目標をすべてクリア。深刻さの度合いが「非常に低い」カテゴリーの「緑」に分類された。また、1~2件の項目について解決策が必要とされた13基を「白」のカテゴリーに分類。安全・セキュリティ上の深刻さは「低い」という判定だが、追加の検査と是正措置に対するフォローアップが必要になる。上から3番目の「黄」カテゴリーは安全・セキュリティ上の懸念が「相当量ある」ということになるが、今回該当する原子炉はない。
一方、99基のうち、深刻さの度合いが「高い」と判定された「赤」カテゴリーの原子炉は3基である。そのうち、アーカンソー・ニュークリア・ワン(ANO)原子力発電所1、2号機では、「黄」判定の項目が2つあったことから、総合評価では「赤」の判定。NRCは監視活動を強化する必要性を指摘している。また、2019年に閉鎖が予定されているピルグリム原子力発電所は、「白」判定の項目が長期にわたって未解決であるため「赤」カテゴリーの分類。この課題への取り組みが行われているか確認するため、NRCは追加検査を実施する予定である。