米トランプ政権、原子力R&D含む科学技術分野の実績 アピール
米大統領府は3月7日、科学技術分野におけるトランプ政権の過去1年間の実績を振り返る報告書を公表し、「米国は今や、国民生活のあらゆる側面を改善するとともに、莫大な富の創出につながる新たな技術革命の幕開けを迎えつつある」と指摘した。原子力部門についても、復活と拡大を目指した根本的な政策見直しをD.トランプ大統領が促したと強調。新しい原子炉技術の開発と建設に向け、研究開発(R&D)機能の回復に重点を置いているとアピールした。
この報告書は、大統領行政府内に設置されている科学技術政策局(OSTP)が取りまとめたもので、それによるとトランプ大統領は就任後、政策アドバイザーとなる同局内のスタッフを科学者やエンジニア、政策担当者および大学関係者などで50名以上に増強。技術開発の促進やR&Dの実施により、国家安全保障や経済成長、高給な雇用の創出、および全国民の生活の質向上を推進中であるとした。この1年を通じてOSTPは米国民の技術革新を支援するとともに新しい技術開発を促進し、諸外国で米国技術を防護することを目的とした調整作業を政権内で実行。同政権が2018会計年度予算における連邦政府のR&D投資として、2017年から2%増の1,512億ドルを科学研究用に要求したことを強調した。
トランプ大統領が長期目標に掲げた「米国によるエネルギー支配」に関しては、OSTPは「実のところ、米国ではほとんど無制限にエネルギー供給が可能だ」との見解を明記。新しい技術や技術革新を通じて、米国民は真のエネルギー革命の最前線に到達していると述べた。この項目では原子力部門のみを取り上げており、その復活と拡大のために、ホワイトハウスが原子力政策の見直しを主導していると説明した。
また、技術革新を促進する上で障害となるものを排除することを同政権が進めていると指摘。具体例として、エネルギー省(DOE)長官が昨年11月、国立研究所が保有する専門技術や施設を企業が利用できるよう措置を講じた点に言及した。国立研究所との連携に関心を持つ企業やその他の組織に対し、米国のエネルギー技術革新を開放する効果的な技術移転ツールが新たに加わったとしている。
OSTPはさらに、DOEが昨年11月にアイダホ国立研究所内にある「過渡事象試験炉(TREAT)」を23年ぶりに再稼働させた事実に触れた。TREATは米国の原子力R&Dインフラとして重要な役割を担っており、深刻な状況下にある原子燃料や材料の試験を行うことが可能になると指摘。既存の原子力発電所のみならず、新設原子炉で性能や安全性を向上させる一助になるとの認識を示している。