大幅に遅延のオルキルオト3号機計画で関係者が和解契約
フィンランドで13年前に着工したものの完成が遅れているオルキルオト原子力発電所3号機(PWR、172万kW)の建設計画について、事業者のティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は3月11日、工事を請け負った仏アレバ社と独シーメンス社の企業連合と包括的な和解契約を締結したと発表した。
TVOは工事の遅延にともなう超過コストおよび損害賠償金として、同企業連合から分割払いで合計4億5,000万ユーロ(約591億7,000万円)を受け取ることになったほか、OL3の完成に必要な人的および技術的資源も、アレバ社がフランス電力(EDF)に売却した原子炉部門であるフラマトム社の追加資源から提供されることになった。一方、OL3の送電開始が最新の日程通り、2019年5月から可能になった場合は、TVOが同企業連合に最大1億5,000万ユーロ(約197億2,000万円)の奨励金を支払うことも明記されている。
OL3の建設工事は、世界で初めてアレバ社製・欧州加圧水型炉(EPR)を採用して2005年に始まった。しかし、規制当局による関係書類の認証作業や下請業者による土木工事に想定外の時間がかかり、当初予定されていた2009年の完成という日程は大幅に遅延。コストもターンキー契約による固定価格の30億ユーロ(約3,948億1,000万円)を大きく超過したことから、両者は互いに追加経費の支払いを請求する仲裁手続を国際商工会議所(ICC)に要請していた。
TVOの発表によると、ICCの仲裁裁判所は2016年11月、追加経費の支払いに関して同社を支持する中間判断を下しており、今回の和解契約に示された損害賠償額もICC裁定に基づいている。同和解契約の発効には一定の条件が設けられているが、TVOは3月中にもこれらが満たされると予測。発効すれば両者はICCの仲裁手続も含め、OL3関係の現行訴訟をすべて取り下げることになる。
そのほか、同和解契約に盛り込まれた両者の合意事項は以下のとおり。
・企業連合はOL3プロジェクトの完結に特化した信用メカニズムを設定し、完成までの保証期間を全面的にカバーするための資金を適切に確保する。
・企業連合は2019年末までにOL3を完成出来なかった場合、4億ユーロ(約525億9,000万円)を上限とする罰金をTVOに支払う。
・ターンキー契約にともなう原則、および企業連合による連帯責任は有効なまま存続する。
なお、OL3に対する最終的な総投資額を、TVOは約55億ユーロ(約7,232億円)になると見積もった。企業連合からの初回の損害賠償金3億2,800万ユーロ(約431億6,000万円)は、和解契約が有効となり次第、3月中に支払われる見通しだが、2回目となる残り1億2,200万ユーロ(約160億5,000万円)の支払いも、OL3の完成と同時、あるいはどんなに遅くとも2019年12月末までには行われる予定だと説明している。