米国で初めて、合計80年の運転に向けた2回目の期間延長申請
米原子力規制委員会(NRC)は3月22日、フロリダ州で稼働するターキーポイント原子力発電所3、4号機(各PWR、76万kW)を合計80年間運転していくための2回目の運転期間延長申請書を、フロリダ・パワー&ライト(FPL)社が1月末に提出していたことを明らかにした。両炉についてNRCは2002年6月、運転開始当初の認可期間である40年に加えて20年追加の運転継続を承認。さらに20年間の運転継続を目指した今回の申請は、米国の原子力発電所としては初の試みとなる。NRCは申請書の受理が可能か審査しているところで、必要書類がすべて揃っていると判断した場合は、付属の行政判事組織である原子力安全許認可会議(ASLB)に公聴会の開催要請通知を発出することになる。
米国では現在、ジョージア州のA.W.ボーグル原子力発電所で3、4号機(各PWR、110万kW)増設計画が進められているものの、巨額の初期投資を必要とする大容量の原子炉建設は一段落。それよりも、既存の原子炉で運転期間の延長を申請し、長く活用していこうとする動きがますます顕著になっている。2017年11月時点で稼働中の商業炉99基のうち、すでに89基(うち3基は早期閉鎖済み)が1回目の期間延長手続を終え、合計60年の運転継続を許されている。
2回目の延長申請についても、バージニア州でサリー1、2号機(各PWR、87.5万kW)を運転するドミニオン社が2015年11月、「申請書を2019年春に提出する方針」をNRCに通達。翌2016年6月にはエクセロン社がペンシルバニア州のピーチボトム2、3号機(各BWR、118.2万kW)について、2019年に申請する計画があることを明らかにした。ドミニオン社はまた、2017年11月の発表のなかで、バージニア州のノースアナ1、2号機(各PWR、約99万kW)で2020年に申請予定であるほか、コネチカット州のミルストン2、3号機(90万kW級と120万kW級のPWR)でも申請する可能性があると示唆している。
マイアミの南24マイル(約39km)に位置するターキーポイント発電所では、今のところ2032年7月と2033年4月まで3、4号機の運転が許されており、2回目の運転期間延長が承認された場合、両炉は2052年と2053年まで運転を継続することができる。FPL社は1月30日付け発表のなかで、無炭素電源である両炉の最新化に近年は10億ドル以上を投入しており、約25万kWの出力増強が可能になると述べた。同社は今年も改修工事を継続する計画で、2基で追加増強される出力は合計4万kWになる見通し。これらの運転を継続することで、コストの高い発電設備を建設する必要がなくなり、数十億ドルの顧客負担が軽減されると強調した。
同社はまた、原子力のように24時間年中無休で炭素を出さずに稼働可能な電源は、清浄な大気を維持し、地球温暖化に貢献する上でも重要との見解を明示。ターキーポイントの2基は毎年、1,000万トン以上の温室効果ガス排出抑制を実現しており、環境保護庁(EPA)のデータによれば、これは約10億ガロン(約379万立方m)のガソリンを燃焼させた時のCO2排出量と同等であると指摘している。
このような認識の下、FPL社は2009年、同サイトでウェスチングハウス社製AP1000の建設を想定した6、7号機の建設・運転一括認可(COL)をNRCに申請した(*5号機は高効率LNGユニット)。NRCは現在、これら2基のCOLのみ審査を継続中で、2016年11月に環境影響評価と安全審査で相次いで最終報告書を発行。これに続く公聴会の開催とCOL発給の最終表決については、日程調整中となっている。