米規制委、WH社製AP1000の新設計画に建設・運転認可発給
米原子力規制委員会(NRC)は4月5日、フロリダ州マイアミ郊外で2基のウェスチングハウス(WH)社製AP1000をターキーポイント原子力発電所6、7号機(各PWR、110万kW)として増設する計画に対し、建設・運転一括認可(COL)を発給することを決定した。
事業者であるフロリダ・パワー&ライト(FPL)社の申請書について、昨年12月の公聴会でNRC委員が安全性と環境影響の両面で問題が無いことを確認したもの。この承認を受けて、NRCの新原子炉局スタッフは数日以内に正式にCOLを発給することになる。
FPL社は現在、同発電所で3基の火力発電プラント(1、2、5号機)と2基の原子力プラント(3、4号機)を運転中で、6、7号機増設計画のCOLは2009年にNRCに申請していた。この申請書を審査したNRCスタッフは2016年11月、最終環境影響声明書(FEIS)と最終安全評価報告書(FSER)を発行しており、公聴会では両文書でCOL発給に必要な項目すべてが裏付けられているか評価された。
同社はまた、既存の3、4号機(各PWR、76万kW)について今年3月、米国の原子力発電所としては初めて、2回目の運転期間延長をNRCに申請。1回目の申請で、運転開始当初の運転期間40年に加えて20年の運転がすでに承認済みであるため、2回目の申請が承認されれば、両炉は合計80年間の運転継続が可能になる見通しだ。
NRCはこれまでに18件・28基分のCOL申請書を受理したが、ターキーポイント6、7号機へのCOL発給により、新たに建設と運転を許可した計画は合計8件・14基にのぼった。このうち実際に着工に至ったのは、ジョージア州のA.W.ボーグル3、4号機計画とサウスカロライナ州のV.C.サマー2、3号機計画のみで、両計画ともWH社製AP1000を採用。受動的安全系を備えた同設計が米国で建設されるのはこれらが最初の試みであったことから、両計画とも建設工期とコストが拡大していた。昨年3月にWH社が連邦倒産法の適用申請した後、サマー計画の事業者は2基とも完成を断念する判断を下している。
ターキーポイント6、7号機の着工に関しては、FPL社はCOLの取得後少なくとも約4年間、判断を保留する方針である。同社は昨年6月、増設計画の見積コストが149億6,000万~218億7,000万ドルとなり、前年見積から13億~20億ドル増加した点を指摘。両炉の建設に適した条件が将来的に整えば、適宜、建設段階に移行するとの考えを表明した。今月5日付けの地元紙のインタビューでも、「先行する2つのAP1000計画でコストが増大したため、2021年後半以降にボーグル3、4号機が完成するまで、出来るだけ慎重に状況を見極めたい」と述べたことが伝えられている。
また、同発電所の地元マイアミでは、FPL社がCOL申請した翌年から、南マイアミ市などが一貫して増設計画への反対意思を表明している。マイアミ・デイド郡から選出された同州のJ.ロドリゲス上院議員も昨年8月と10月、NRCが10月に予定していた公聴会の開催を延期するよう要請。理由として、大型ハリケーンが同州を直撃した場合の高潮や海面上昇が同発電所では十分考慮されていない、FPL社の使用済燃料貯蔵方法が適切でない、などと説明していた。