中国で世界初のWH社製AP1000に燃料装荷
中国核工業集団公司(CNNC)は4月25日、世界初のウェスチングハウス(WH)社製AP1000として完成予定の三門原子力発電所(=写真)1号機(PWR、125万kW)で、燃料の装荷を開始したと発表した。国家核安全局(NNSA)が同日に燃料装荷許可を発給したのを受け、CNNCは夕方から浙江省の同発電所で157体の燃料集合体を安全かつ適切に装荷中だと説明。三門でのこのような成功経験を通じて、中国における原子力発電所の建設レベルや機器製造能力をさらに改善し、原子力強国となるための道を進むとしている。
三門では同じくAP1000を採用した2号機が、1号機から8か月間のインターバルを置いて建設されているほか、山東省の海陽原子力発電所でもAP1000が2基建設中。NNSAは昨年の7月後半に三門1号機、8月初頭に海陽1号機の包括的な安全審査を終えた後、国家能源局などとともに補足の審査を両炉で実施しており、海陽1号機でも近いうちに燃料装荷許可が発給されると見られている。
2017年3月にWH社が米国の連邦倒産法に基づく破産申請を行った後、米国内でAP1000を建設中だった事業者のうち、A.W.ボーグル3、4号機増設計画のオーナー企業がプロジェクトの続行を決めた一方、V.C.サマー2、3号機増設計画のオーナー企業は同年7月、両炉とも完成を断念すると発表した。中国の原子力産業界でも波紋が広がり、AP1000技術の導入・国産化を担当していた国家核電技術公司(SNPTC)、および親会社の国家電力投資集団公司(SPIC)は、破産申請日に直ちに対応協議を実施している。WH社の経営陣とも電話会議を行い、現行契約に基づく協力の継続意思が同社にあることを改めて確認。両社は三門と海陽、両プロジェクトの重要性に鑑み、全力を傾注してこれらの運転開始を実現することで合意していた。
SPICによると、中国の国営原子力企業や関係企業、機器製造企業は長期にわたって協同努力を重ねており、第3世代原子力発電所の研究開発や設計、機器製造、エンジニアリングと建設、運転管理については、すでに十分な能力を身につけた。このため、中国版のAP1000である「CAP1000」や中国が知的財産権を保有する出力拡大版「CAP1400」の建設において、WH社の破産申請が実質的な影響を及ぼすことはないとの認識を示している。
三門1号機の今後の作業についてWH社は、臨界条件達成後に送電網に接続し、定格出力ですべての試験が無事に完了するまで、出力上昇試験を段階毎に進めていくと説明。中国が将来を見通した原子力プログラムを進めていることや、国家経済に対するクリーンな電力の供給に努めていることから、そのパートナーであることを誇りに思うと述べた。その上で、今後も同国に対する技術移転や技術の国産化、インフラ開発などへの協力を通じ、原子力産業界の発展を支援していくとの考えを表明した。