ロシアの海上浮揚式原子力発電所、立地点に向けて出港
ロシアの民生用原子力発電公社であるロスエネルゴアトム社は4月28日、サンクトペテルブルクのバルチック造船所(BZ)で建設中だった海上浮揚式原子力発電所「アカデミック・ロモノソフ」が、予定通り、最終立地点となる極東地域北東部チュクチ自治管区のペベクに向けて出港したと発表した(=写真)。航海は2段階で行われる計画で、まず、燃料を装荷しない状態で、サンクトペテルブルクからバルト海を経由し、デンマーク付近およびノルウェーの海岸沿いに同発電所をムルマンスクまで曳航。同地で今秋にも燃料を装荷し、搭載している出力3.5万kWの原子炉「KLT-40S」を2基、起動することになる。運転可能な状態にした後、2019年の夏頃に北極海経由でペベクに曳航して港湾インフラ設備と接続。2019年中の営業運転開始を目指すとしている。
BZでは、2016年7月に同発電所の係留試験が始まったのに続き、昨年はタービン・ローター調整機器のセッティング作業などを実施。ペベクでも、昨年10月から係留用陸上設備を含む港湾インフラの建設工事が始まっており、今年1月にはロシア建設省傘下の設計評価機関である国家専門家審査会が同発電所の運転を承認した。
チュクチ自治管区では、1970年代から電力需要の約80%を賄ってきたビリビノ原子力発電所(1.2万kWのRBMK×4基)が2019年から順次、閉鎖される予定。アカデミック・ロモノソフはこれらに代わって、同地区に電力と熱エネルギーを供給する計画である。