カナダの廃棄物管理機関、地層処分計画を進める各国との連携強化
カナダで使用済燃料の地層処分計画を推進中の核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は5月14日、同様に地層処分方針を取っている、または採用予定と見られている5か国の担当機関と新たに協力協定を締結、あるいは既存の協定を更新したと発表した。NWMOは深地層処分場建設サイトとして最も好ましい1地点を2023年までに特定することを目指しており、受け入れに関心を表明した22の候補地点を5地点まで絞り込んだところ。連携強化を決めた国外カウンターパートのうち、フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)、英国の放射性廃棄物管理会社(RWM)、スウェーデンの核燃料・廃棄物管理会社(SKB)、スイスの放射性廃棄物管理協同組合(NAGRA)は、それぞれの地層処分場サイト選定プロセスを様々な段階に進展させている。
また、ベルギーでは放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)が、放射性廃棄物の長期管理方法として地層処分を政府に推奨中であり、NWMOはこれらの機関と知見や経験の交換を促進する最適なタイミングだと指摘。使用済燃料の安全かつ長期的な管理で、国際的に最良の慣行を適用していきたいと述べた。フィンランド、日本、および韓国のカウンターパートとはすでに、同様の協定を締結済みである。
使用済燃料を適切に最終処分する方法は、原子力発電を利用する各国が長年にわたって研究開発を続けた結果、地下500mほどの深地層で処分することが最も有効かつ現実的であるとの認識で一致。処分場建設計画が最も進んでいるフィンランドでは、2015年11月に同国政府が世界で初めて、実施主体のポシバ社に対しユーラヨキ地方のオルキルオトで処分場を建設する許可を発給した。処分概念は、隣国スウェーデンの担当機関であるSKBが開発した「KBS-3方式」を採用。廃棄物を封入した2重構造のキャニスターを地下施設内に定置した上で、周囲をベントナイト粘土で充填することになる。
SKBがスウェーデン国内で建設する深地層処分場は、エストハンマルにあるフォルスマルク原子力発電所の近接エリアが2009年にサイトとして決定した。現在、同社が2011年に提出した立地・建設許可申請書をスウェーデン放射線安全庁(SSM)が原子力法、国土環境裁判所が環境法に照らして審査中となっている。
フランスではANDRAが、ムーズ県とオートマルヌ県にまたがるビュール地区も含めた30平方kmの圏内で、深地層処分場「CIGEO」を建設することが2010年に決定。2020年代後半に操業試験を実施できるよう、ANDRAは2019年に設置許可(DAC)を申請する計画である。
スイスにおける全3段階のサイト選定プロセスは第2段階の終盤を迎えており、NAGRAは候補エリアをジュラ東部とチューリッヒ北東部、および北部レゲレンの3つに限定した。これらにおける3次元地震探査はすでに実施済みで、これに続くボーリング調査の実施許可を年末までに全エリアで取得、2019年に掘削を開始する見通しである。
英国では2008年と2009年にカンブリア州で2つの自治体が深地層処分施設(GDF)の受け入れに関心を表明したが、州政府の反対により選定プロセスは白紙に戻った。現在の選定プロセスは政府が「2014年白書」の中で公表したもので、受け入れ意思を持つ自治体との協働ベース・アプローチが盛り込まれた。この関連で、担当官庁のビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)はウェールズ政府とともに今年1月、GDFの建設に関する地域との協働プロセス案を公開協議に付している。