仏フラマトム社、SGの保守・点検契約を米事業者と締結
旧アレバ社の原子炉機器設計製造部門で、三菱重工業も一部出資している仏フラマトム社は5月17日、ドミニオン・エナジー社が米国内で運転する3サイト・6基の原子力発電所に対し、蒸気発生器(SG)の保守・点検サービスを提供する契約を請け負ったと発表した。契約総額は数百万ドル規模で、今年から2020年まで計8回予定されている定期点検時に、新しいロボット「FORERUNNER」(=写真)を活用する次世代型点検システム「Trident」を、バージニア州のサリーとノースアナ両原子力発電所、およびコネチカット州のミルストン原子力発電所に送り込む計画。これらの機器を通じて作業時間と被ばく線量の低減を実現しつつ、保守・点検作業における安全性と人的パフォーマンスをさらに向上させたいとしている。
Tridentにはマニピュレーターで操作する探針が3つ搭載されており、フラマトム社はすでに旧アレバ社時代、米国の原子力施設における一回の定検時に、SG細管17,000本以上を点検した実績があるとした。FORERUNNERはクロアチアのINETEC社がSG点検用に開発・製造したものだが、同社は原子力発電所向けの試験・補修・点検技術の開発と、補修サービスの提供で知られている。
2017年11月に当時のアレバ社がFORERUNNERの導入について公表した際、2018年春からSG用保守・点検ツールの一部として米国の原子力発電所に配備予定であることを明らかにしていた。軽量に作られており、SG細管板の水平と垂直方向など、あらゆる作業場所で蜘蛛のように動くことが可能。このため、異なる設計のSGにも容易に適合するほか、自動制御の経路アルゴリズムで合理的な点検経路を計算することにより、点検時間を30~50%削減できるとしている。