フィンランドのオルキルオト3号機、運転開始がさらに4か月遅延
フィンランドのティオリスーデン・ボイマ社(TVO)は6月13日、建設中のオルキルオト原子力発電所3号機(PWR、172万kW)(OL3)で2019年5月に予定していた通常運転の開始日程がさらに4か月遅延し、同年9月になると発表した。
工事を請け負った仏アレバ社(当時)と独シーメンス社の企業連合が今年4月、全体的な完成スケジュールを改定するとTVOに連絡してきたことによるもの。理由としては、5月末に完了した温態機能試験と現在実施中の起動試験で、当初計画より時間がかかったことが挙げられている。OL3の建設工事は世界初の欧州加圧水型炉(EPR)として2005年8月に始まったが、土木工事や規制関係書類の認証作業で予想外の時間を消費。2009年11月に、同じくEPR設計を採用して中国・広東省で着工した台山原子力発電所(PWR、175万kW)では、今月6日に1号機が臨界条件を初めて達成したとの報道があり、事実であれば今年中にも同炉が世界初のEPRとして先に運転を開始することになる。
最新の完成スケジュールによると、OL3における燃料の初装荷は2019年1月、送電網への初併入は同年5月に行われる予定。初併入してから同年9月の通常運転開始までに、様々な出力レベルで合計20億~40億kWhを発電する見通しだとした。
OL3の温態機能試験は昨年12月に始まったものの、加圧器サージラインの振動等により、完了までに追加で50日間を要した。起動試験ではこれまでに判明した事項に基づき、電気系統と計測制御(I&C)系をアップデートするため、包括的な修正作業が今後数か月間行われる。それが終了した後、一部の起動試験を再度実施するため、同試験についても計画した以上の時間が完了までに必要だとしている。
OL3の完成は、着工当時は2009年に予定されており、TVOは工事の遅延にともなう超過コストおよび損害賠償金として、仏独の企業連合から分割払いで4億5,000万ユーロ(約575億円)を受け取る内容の和解契約を今年3月に締結した。同プロジェクトでTVOは、約30億ユーロ(約3,836億円)の固定価格によるターンキー契約を企業連合と結んでいたが、和解契約の締結時にTVOは最終的な投資額が約55億ユーロ(約7,033億円)にのぼったことを明らかにしている。
この和解契約に盛り込まれたその他の合意事項としては、同企業連合がOL3プロジェクトの完結に特化した信用メカニズムを設定し、完成までの保証期間を全面的にカバーするための資金を適切に確保する。また、2019年末までにOL3を完成できなかった場合、同企業連合は4億ユーロ(約511億円)を上限とする罰金をTVOに支払うことになっている。