韓国が月城1号機の早期閉鎖と新規サイト計画の終結を正式決定
韓国水力・原子力会社(KHNP)は6月15日、国内商業炉の中で最も古い月城原子力発電所1号機(67.9万kWの加圧重水炉)(=写真)の早期閉鎖、および2つの新規立地点における原子力発電事業の終結を、同日の理事会で決定したと発表した。これは、政府が昨年10月と12月にそれぞれ決定していた「エネルギー転換(脱原子力)ロードマップ」と「第8次電力需給基本計画」に沿った措置。月城1号機については、原子力安全委員会が2015年に10年間の運転期間延長を認め、2022年まで運転可能となっていたが、電力需給基本計画に明記されたとおり、年内にも発電設備の中からはずされると見られている。
また、慶尚北道の盈徳(ヨンドク)で2019年に着工予定だった天地原子力発電所1、2号機(各156万kWのPWR)建設計画、および江原道・三陟(サムチョク)の大津(テジン)で検討されていた原子力発電事業は正式に終結。これらにともなう合法的な経費や訴訟費用等の確保については、今後政府と緊密に協議して進めるとしている。
2017年6月に韓国最古の商業炉である古里1号機が同国で初めて閉鎖された際、文在寅大統領はこれが脱原子力に向かう出発点であり、韓国のエネルギー政策における大転換になると宣言。すでに建設中の3基はこのまま完成させるが、月城1号機を早期閉鎖するとともに、既存の原子力発電所で運転期間の延長は行わないとした。また、同年4月に着工したばかりの新古里5号機、および1年後の本格着工に向け準備工事中だった同6号機については、約500名の市民の見解を3か月かけて集約した結果、建設工事の継続を決めた。一方、これらに続く新ハンウル3、4号機と天地1、2号機、およびこの時点でサイトと呼称が未定だった2基に関しては、脱原子力ロードマップと電力需給基本計画の中で計画が全面的に白紙化されていた。
今回の発表によると月城1号機の早期閉鎖は、2011年の福島第一原子力発電所事故や2016年に慶尚北道で発生した地震により規制環境が強化されたこと、および近年の運転実績の低迷により経済性が不透明になったことが主な理由。今後は原子力安全法に基づき、永久停止に必要な変更許可の取得でフォローアップ手続を早急に進めるとした。
また、新規立地点については、原子力発電事業をスムーズに終結させるため、電源開発予定区域としての指定告示解除を政府に申請する計画。土地購入が約19%完了していた天地原子力発電所は、盈徳の指定告示を解除した後、買い戻しや公売などの方法で土地売却を進めることになる。