世界初のWH社製AP1000が中国・三門で初臨界、海陽では燃料初装荷

2018年6月22日

©SNPTC

 中国の国家核電技術公司(SNPTC)は6月21日、世界で初のウェスチングハウス(WH)社製AP1000となる浙江省・三門原子力発電所(=左写真)の1号機(125万kWのPWR)が、同日未明に初めて臨界条件を達成したと発表した。同じ日に、これに次ぐAP1000となる山東省の海陽原子力発電所(=右写真)1号機(125万kWのPWR)で燃料装荷を正式に開始しており、中国の原子力発電開発もいよいよ、受動的安全系を有する第3世代設計の時代に入ったと強調している。

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 SNPTCは、諸外国の第3世代原子力技術の導入・習得・国産化を目的に設置された機関で、AP1000技術を採用した原子炉建設は、WH社との連携協力により三門と海陽の2サイトで進行中。WH社が建設計画のプロジェクト管理およびエンジニアリング・機器調達を請け負う一方、実際の建設工事は、三門で中国核工業集団公司(CNNC)傘下の三門核電有限公司(SNPC)、海陽では国家電力投資集団公司(SPIC)傘下の山東核電有限公司(SDNPC)が担当している。

 三門サイトでは、一期工事となる1、2号機の建設工事がそれぞれ2009年4月と12月に開始され、今年4月に国家核安全局(NNSA)は1号機について燃料の装荷許可を発給。これを受けて、同月25日から157体の燃料集合体の装荷作業が行われた。海陽サイトの建設工事は、2009年9月と2010年6月に1、2号機がそれぞれ本格着工。1号機の燃料装荷については、少し前にNNSAが準備状況に関する試験と規制上の審査を完了しており、21日の燃料装荷開始前にすべての基準に適合していることを確認していた。
 昨年3月の時点では、WH社が米国の連邦倒産法に基づき破産申請を行うという事態が発生したが、SNPTCと親会社のSPICは直ちに対応協議を実施。WH社経営陣とは、電話会議を通じて現行契約に基づく協力継続の意思があることを確認しており、三門と海陽で建設中の4基は全力を尽くして運転開始させることが決定していた。

 AP1000建設工事が今回初めて、営業運転前の最終的な節目を迎えたことについて、WH社は「安全かつ革新的な発電技術の分野で当社の有する能力が実証された」と強調。三門と海陽では建設工事と起動の全段階を通じて、得られた教訓や資源を共有しているため、今後建設されるAP1000においては、品質と工期の両面で大幅な改善が図られるとした。
 また、米国で進められていた2件・4基分のAP1000建設計画では、WH社は建設工事を含めた一括契約でプロジェクトに参加していた。ジョージア州におけるA.W.ボーグル3、4号機増設計画は、現行のエンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約をWH社が放棄する形で継続が決まった一方、サウスカロライナ州のV.C.サマー2、3号機増設計画は、工期の遅れにともない拡大したコストの負担を巡り中止が決定した。このことから、WH社は中国の両プロジェクトで採用した連携・協力形態の有効性を指摘。今後は、技術と機器の供給に限定した協力形態により、複数のAP1000を世界中で建設していきたいとしている。