仏オラノ社、年内に中国で再処理工場の建設準備作業開始へ
仏国のオラノ社(旧アレバ社)は6月25日、中国における使用済燃料の再処理・リサイクル工場建設に向けて、年内にも準備作業を開始することで中国核工業集団公司(CNNC)と合意に達したと発表した。
これは、オラノ社が操業するラアーグ再処理工場とメロックスMOX燃料加工工場をモデルに、年間処理能力800トンという商業規模の再処理・リサイクル工場を中国国内に建設するというプロジェクト。CNNCが2007年に商業用再処理工場の建設フィージビリティ・スタディ(FS)をアレバ社に依頼してから、すでに10年以上が経過している。今回の合意についてオラノ・グループの担当子会社は、「プロジェクトに着手するための協議が一歩前進した」と強調。合意内容の有効期限は今年一杯となっているが、実際に作業開始となれば、オラノ・グループ内約100名の従業員が従事するとの見通しを明らかにした。
中国の原子力・新エネルギー技術研究院によると、急速な原子力発電開発の進展にともない中国では使用済燃料の発生量が増大。2020年までに5,800万kWの原子力設備という開発目標を達成した場合、使用済燃料は累計で7,000トンに達するとのデータがある。再処理工場については、2004年に甘粛省蘭州でパイロット試験施設(処理量50トン/年)が完成。2010年12月に実燃料を使ってホット試験を実施したものの、その後、改造が必要になり使用開始に至っていないという。
商業規模の再処理工場関連では、CNNCはFSを商業契約に進めるための協力支援について2010年11月にアレバ社と合意した。2013年に両者は協力意向書を締結したのに続き、2014年には長期の協力覚書に調印している。翌2015年になると、両者は2030年までの操業開始を目標に、双方のタスクと責任配分を特定する技術協議を完了。今年1月に仏国のE.マクロン大統領が就任後初めて訪中し、習近平国家主席と会談した際は、商業契約の交渉を早期に終えて年内に建設プロジェクトを開始する方針を再確認していた。
今回の合意文書は、仏国のE.フィリップ首相が中国を訪問したのに合わせて結ばれた。現地メディアによると、オラノ社の広報担当者は建設プロジェクトの準備作業として、主にプロジェクト管理と品質管理関係の文書業務を挙げており、この作業に対する同社側の負担額を約2,000万ユーロ(約25億6,500万円)と予想している模様。しかし、交渉上の課題の1つは依然としてコストであり、特にオラノ社側からの技術移転価格について、両者は今のところ合意点を見つけられずにいると伝えられている。