インドのジャイタプール計画でEDFとGE社が戦略的協力協定
フランス電力(EDF)と米ゼネラル・エレクトリック(GE)社は6月26日、インド南西部マハラシュトラ州のジャイタプールで計画されている6基の欧州加圧水型炉(EPR)建設について、戦略的協力協定を締結したと発表した。
これは、GE社の発電事業部門であるGEパワーが、6基それぞれにタービン発電機系統の主要機器を設計・供給できるよう、両者の 長期的パートナーシップを強化するためのもの。今年3月にEDFは、同発電所の所有者兼事業者となるインド原子力発電公社(NPCIL)と同計画の実現に向けた「産業枠組協定」を締結しており、GE社との協力協定はこれを実行に移す重要なステップとなる。総設備容量が世界最大級の約1,000万kWという同原子力発電所の建設計画は、2010年にNPCILとEPR開発業者のアレバ社(当時)が最初の2基の建設について枠組合意して以降、長らく停滞していたが、今回の協力協定により、今年末頃の着工を目指して新たな段階に移行したことになる。
インドは2032年までに原子力発電設備容量を現在の約10倍の6,300万kWとし、2050年までに総発電量に占める原子力の割合を25%まで拡大するため、国産加圧重水炉(PHWR)の建設を続ける一方、海外メーカーから大型軽水炉を導入する計画も進めている。インド南端のタミル・ナドゥ州では、ロシア企業が開発したクダンクラム原子力発電所で2基の100万kW級PWRが稼働中のほか、2基が建設中、さらに2基が計画中である。しかし、サプライヤーに一定の賠償責任を盛り込んだインドの原子力損害賠償法やサイト近隣住民の抗議行動などがネックとなり、その他の新規サイトにおける建設計画はあまり進んでいない。
今年3月の「産業枠組協定」で、EDFとNPCILはジャイタプール計画について、機器の調達活動など産業界関連の枠組や仏印双方の役割と責任分担、次の段階の日程等を決定していくと明記。最初の2基に関するエンジニアリング調査と機器調達の調整活動はEDFが担当するものの、残り4基については、その一部をインド企業に割り当てることが検討されている。
今回の協力協定では、GE社がタービン発電機系統の主要機器とその運転支援サービスを供給するほか、NPCILの要求に従い運転員の訓練プログラムも提供する方針。GE社は2015年に仏国の大手重電機器メーカーであるアルストム社の発電・送配電事業を買収していることから、アルストム社が開発した世界最大級の低速タービン「アラベル」をジャイタプール計画にも納める計画だ。
一方のEDFは、原子炉系統とタービン系統および補助システムなど、プロジェクト全体のエンジニアリング統合に責任を持つとともに、必要となる入力データのすべてを提供する。両者はまた、同プロジェクトの技術オプション関連の作業や両者間の産業契約の微調整など、現在実施中の作業をさらに前進させる考え。設計エンジニアリングと資機材調達スケジュールについても、最終決定するとしている。
原子力分野におけるEDFとGE社の協力関係はすでに60年以上に及んでおり、GEパワーはタービン系統のメイン・サプライヤーとして、EDFが仏国内で運転する多くの既存炉や建設中のフラマンビル3号機(163万kWのEPR)に主要機器を供給。EDFエナジー社が英国で計画しているヒンクリーポイントC原子力発電所(163万kWのEPR×2基)に対しても、2基分の「アラベル」タービンについて、最初のローター製造を開始したことを今月20日付けで明らかにしていた。