仏ベオリアGr.とEDF、放射性廃棄物処分と廃止措置で連携契約
水処理事業など多国籍の総合環境サービス事業で知られる仏国のベオリアGr.と、仏国内の商業炉すべてを所有するフランス電力(EDF)は6月26日、ガス冷却型原子力発電所の廃止措置技術と放射性廃棄物の固化処分技術を共同で実用化し、世界中で商業運用していくためのパートナーシップ契約を締結したと発表した。 EDFは現在、ビュジェイ、シノン、サンローラン・デゾーの各原子力発電所で合計6基のガス冷却炉を廃止措置中。これらの複雑なプロジェクトすべてにおいて、すでに重要な節目をクリアしているが、同社はこれらの施設を可能な限り最短の期間で解体することを目標としている。このため、ベオリアGr.は今回の連携契約を通じて、同Gr.が培ってきた遠隔操作技術(ロボット)の経験をEDFに提供。ガス冷却炉の炉心から機器を安全かつ確実な最適の条件下で切断し、取り出すための革新的手法を設計・納入することになる。
両社はまた、ベオリアGr.のジオメルト技術(注1)を使って低・中レベル放射性廃棄物をガラス固化する工業技術開発に取り組む方針。放射性廃棄物をガラス基材中で固化するという同技術は元々、米エネルギー省(DOE)のパシフィック・ノースウエスト国立研究所(PNNL)が開発したもので、米国や英国、日本などでは1990年代から放射性同位体や農薬、ダイオキシン、重金属に汚染されたサイトの修復事業に使われてきた。ベオリアGr.は、同技術のライセンス権を保有する米国籍のキュリオン社を2016年4月に買収しており、EDFとの連携協力では、低・中レベル廃棄物を輸送と貯蔵が容易かつ安定した耐久性のある廃棄体に変えていく計画である。
なお、キュリオン社は放射性廃棄物や有害廃棄物の処理を専門としており、福島第一原子力発電所では汚染水問題の解決に向けて協力。廃棄物の分離・安定化技術を駆使したセシウム吸着塔やストロンチウム除去装置などを納入した実績を持つ。英国のセラフィールド原子力サイトでは、国立研究所(NNL)との協力により、2016年からジオメルト技術による放射性廃棄物ガラス固化システムの商業運用を開始している。
【注1】バッチ式ガラス固化技術で、容器内の処理対象物に電極棒を挿入し、ガラス形成剤を溶融。高温による分解で有害廃棄物を完全に無害化した上でガラス基材中に固化する方式。