英政府、ウィルヴァ新設計画の「開発合意書」申請を受理
英コミュニティ・地方自治省の政策執行機関である計画審査庁(PI)は7月6日、日立製作所がホライズン・ニュークリア・パワー社を通じて提出していたウィルヴァ・ニューウィッド原子力発電所建設計画の「開発合意書(DCO)」の申請書を、中央政府として受理したと発表した。
「国家的重要度が高いインフラ・プロジェクト(NSIP)」として提案された同計画のDCO申請書について、PIは英国政府の要件を満たしていると認めたもので、DCO審査プロセスはこれにより予備審査の段階に進展。ウェールズ地方のアングルシー島で、日立GEニュークリア・エナジー社製の英国版ABWR(出力135万kW)を2基、建設するという同計画でDCOが発給された場合、約7年間の建設期間を経て2027年頃にも運転開始する可能性があるとしている。
ホライズン社は、4万ページを超えるDCO申請書を6月1日付けでPIに提出。同月29日にはすでに、PIが28日間の法定審査を完了して同申請書を正式に受理した事実を公表していた。同社はまた、排水許可など環境関連の主要な4つの許認可申請書についても、ウェールズ自然保護機関(NRW)が受理したと明言。パブコメ募集を含む段階に審査が移行したことを明らかにしていた。
DCOの審査はPIが担当しており、申請書の受理に際しては諸外国の環境影響に関する適正評価をPIの担当大臣が実施した。本審査が完了した後は、PIの勧告を受けてビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の大臣がDCO発給の最終判断を下すことになるが、PIの担当大臣は今回、同建設計画がアイルランドの環境に影響を及ぼす可能性を示唆したものの、その他の国については可能性は低いとの見解を示している。
しかし、国連欧州経済委員会(UNECE)が採択した「越境環境影響評価条約(エスポー条約)」と「環境に関する情報へのアクセス、意思決定における市民参加、司法へのアクセスに関する条約(オーフス条約)」に配慮し、英政府はこれらの条約の加盟国およびその国民に対して、DCO審査への参加希望者を募集する方針を決定した。DCOの予備審査では新たに「審査当局」が設置されることになっており、審査プロセスについて「有効な意見」を提示した者は、今後の審査方法などを決定するために「審査当局」が開催する準備会合、およびその後の審査に利害関係者として参加が許される予定。希望者の登録締め切り日は8月13日となっている。
なお、BEISのG.クラーク大臣は6月4日、同建設計画における総事業費の出資分担など、最終投資判断に向けた日立製作所との協議を継続すると議会で表明。2019年に最終契約の締結を目指すと見られている。