バングラデシュでルプール2号機が本格着工
バングラデシュ初の原子力発電設備となるルプール発電所について、建設工事を請け負ったロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は7月14日、首都ダッカの北西160kmのサイトで2号機の建設工事を開始したと発表した。同サイトでは昨年11月に1号機が本格着工したばかりだが、今月8日に同国の規制当局が2号機の設計・建設許可を発給したのを受けて、ロスアトム社は原子炉建屋部分に最初のコンクリートを打設したもの。記念式典には、同国のS.ハシナ首相(=写真中央の女性)に加えて、ロシアのY.ボリソフ副首相やロスアトム社のA.ロクシン第一副総裁が出席した。現在の予定では、1号機の営業運転開始は2023年、2号機については翌2024年となっており、同国における電力不足の解消と経済成長に寄与すると期待されている。
ルプール発電所の2基では、国際社会の安全要件すべてに適合するという第3世代+(プラス)の120万kW級ロシア型PWR(VVER)設計を採用。同型の原子炉としてはすでに、ロシアのノボボロネジ原子力発電所II期工事1号機が昨年2月に営業運転を開始している。設計・建設工事はロスアトム社のエンジニアリング部門であるアトムストロイエクスポルト(ASE)社が主契約者として担当しているほか、原子炉系統やタービン系統などの機器製造は、同じくロスアトム社傘下のアトムエネルゴマシ社が実施している。
ロシアがバングラデシュに原子力発電所の建設協力を提案したのは2009年のことで、翌2010年に両国政府は原子力の平和利用に関する2国間協力協定、2011年にはバングラデシュ国内の原子力発電所建設に関する協力協定を締結した。総工費については2基分で126億5,000万ドルとの情報があり、バングラデシュ内閣は2016年6月、このうちの113億8,000万ドルをロシア政府から信用取引の形で受け取るための政府間協定案を承認した模様。担当銀行としては、ロシアの対外経済銀行とバングラデシュ最大の国有商業銀行であるソナリ銀行がそれぞれ、承認されたと伝えられている。