ホルテック社とSNCラバリン社が米国で廃止措置専門企業会社 設立
米国のホルテック・インターナショナル社とカナダのSNCラバリン社は7月18日、米ニュージャージー州を本拠地とする原子力発電所の廃止措置専門企業「コンプリヘンシブ・デコミッショニング・インターナショナル(CDI)社」を合弁で設立したと発表した。
米国内では稼働中の商業炉約100基で経年化が進んでいるほか、低コストなエネルギー源が台頭していることから、両社は今後10年間に米国の廃止措置市場が140億ドルを超える規模に成長すると予測。双方が蓄積してきた専門的知見を統合することにより、廃止措置期間の大幅な短縮を実現しつつ、作業を安全かつ経済的に遂行する方針である。
なお、この発表の数日後にSNCラバリン社は、カナダ・サスカチュワン州で昨年12月から原子力安全委員会の廃止措置手続が始まったプール型研究炉「SLOWPOKE-2」に対し、子会社のCANDUエナジー社が2~3年にわたり廃止措置サービスを提供することになったことを明らかにしている。
ホルテック社は使用済燃料管理を専門とするエネルギー総合ソリューション企業であり、すでに世界中の原子炉110基で同社が開発した使用済燃料の貯蔵・輸送技術が活用されている。一方、SNCラバリン社は、2011年にカナダ原子力公社(AECL)のCANDU炉(カナダ型加圧重水炉)事業を買収した大手のエンジニアリング・プロジェクト管理企業。両社はすでに協力関係にあり、ホルテック社が世界的展開を目指して進めている小型モジュール炉(SMR)開発に、SNC社は許認可支援を含めたエンジニアリング・サービスを提供中である。
原子力発電所を安全に解体することについては、両社は複雑なプロジェクトの立案や管理、特殊な原子力技能、確証済みのプロセス、革新的技術が必要になると認識している。このため、CDI社では「安全性と環境影響に配慮しつつ廃止措置作業を加速すること」を最優先項目に設定。発電所サイトを、制約なしで再利用可能な状態に戻すための期間は、乾式一時貯蔵施設を設置する時間を除いて、8年以下に短縮するとした。
また、両社はともに多数の最新技術を市場に投入してきたほか、長年にわたり堅実な財務実績を残してきた。これにより、CDI社では原子力施設の安全な運営と性能品質の確保、日程通りのプロジェクト遂行といった点で両社の能力を発揮することができる。このような背景から、両社はCDI社を廃止措置市場における主要企業とすることを目指しており、今こそ、そのための投資を実行する時だと指摘。原子力発電所の廃止措置と使用済燃料の貯蔵で事業を牽引していけるよう、両社の能力と技術、財政力を結集する考えを表明している。