中国先進研究炉(CARR)が連続安定運転を達成
中国核工業集団公司(CNNC)は、8月14日、中国原子能科学研究院(CIAE)と共同開発してきた中国先進研究炉(CARR)が、7月25日から8月7日の期間、安全上の何らの問題もなく、連続運転を達成したと発表。
この世界をリードする事業が、一連の放射線に関するタスクを完了し、建設以来最も高い30MWレベルでの安定運転を生み出し、さらに2週間にわたる高出力運転により、高温、多湿下におけるCARRの装置と運転の信頼性が確認されたとしている。
CARRは、北京市房山区のCIAE敷地内に立地。重水反射材を使った軽水タンク型の炉で、CIAEは、アジアのみならず全世界でも最も先進的な炉の一つであると表現している。設計および建設の段階で、CIAEは、燃料、原子炉格納容器のようなコンポーネント、制御棒メカニズム、デジタル管理システムなどに携わり、それら機器の国産化率は90%にのぼる。
CARR計画は、1997年7月に政府により認可、2002年8月に着工。2010年5月13日の初臨界後、2012年3月13日に72時間のフルパワー運転に至った。
関係する中国中性子散乱学会(CNSS)のウェブサイトによると、現在CARRは正規の運転認可待ちの段階で、取得後には年間12サイクル(1サイクルあたり10日から20日の稼働)での運転が予定されている。
CARRは、核物理、化学、中性子散乱実験、原子炉材料や燃料試験、中性子放射化分析などの分野での研究、ならびにラジオアイソトープや中性子照射によるシリコン半導体製造などに利用される。
〈注記〉
CIAE:中国科学院(CAS)とCNNCが1950年に共同設立。中国原子力科学技術の発祥の地で、国防科学研究や原子力エネルギー研究開発・イノベーションの基地としても機能。スタッフ数は6,000名で、中国核データ・センター、高速炉研究開発センター、タンデム加速器実験室、核保障技術重点実験室、再処理工程部、廃止措置工程部等を有する。 (出典 「躍進する中国の原子力産業と世界覇権戦略」テピア総合研究所2018年1月刊行)