スイス政府、放射性廃棄物処分3候補地の探査掘削許可を発行

2018年8月22日

 スイス連邦政府は、放射性廃棄物管理協同組合(NAGRA)が放射性廃棄物処分の候補地を調査するための3箇所の探査用ボーリング掘削許可を下したとスイス連邦エネルギー庁(SFOE)のウェブサイトで8月21日に公表した。
 SFOEは、NAGRAが2016年および17年に全部で22箇所の試験掘削申請していたところ、8月17日に3箇所について許可したとしている。
今回の許可は、北部レゲレン地域での探査掘削と、チューリッヒ・ノルドストの2箇所の探査ボーリング孔掘削について行われたとSFOEはウェブサイトで述べている。また、掘削の申請に対する703件の反対意見を受け取っていることも述べている。

 掘削作業は2019年に開始され、NAGRAは、2022年にも、高レベル放射性廃棄物深地層処分場、低中レベル廃棄物処分場あるいは複合型の貯蔵施設のいずれの建設許可申請にするかについて発表する予定であるとしている。
 2005年に施行されたスイス原子力法では、放射性廃棄物は発生者の責任で国内での保管が規定されている。また、2006年にそれまで海外(英国、フランス)に委託してきた再処理が連邦決議により、禁止されたため、現在は、使用済燃料を燃料プールで数年間冷却後、発電所内、あるいは中間貯蔵施設で貯蔵している。2001年に建設されたスイス北部ヴュレンリンゲン放射性廃棄物集中中間貯蔵施設では、使用済燃料の他、外国から再処理返還の高レベル放射性廃棄物も貯蔵されている。

 NAGRAは1972年にスイスの原子力発電所の事業者の協同組合として設立。民間の原子力廃棄物の管理とスイス国内での処分を担当している。