UAE規制当局、カリファ大学との原子力安全に関する研究協力協定に調印
アラブ首長国連邦(UAE)の連邦原子力規制庁(FANR)は、9月2日にアブダビのカリファ科学技術大学と原子力安全研究の推進とUAEにおける次世代の原子力平和利用研究者養成に重点をおいた共同研究協定に調印した。
調印式は、FANR本部においてFANR事務局長C.ヴィクトールソン氏とカリファ大学副学長のA.ハマディ博士との間で行われた。
今回の協定によると、OECD/NEAが主導している国際的なプロジェクトであるATLAS-2(事故シミュレーションのための熱水力試験ループプロジェクト)にFANRとカリファ大学は継続して参加することとなっている。ATLAS-2は、福島第一原子力発電所事故を受けて、2014年から2017年まで韓国原子力研究所(KAERI)が行ってきたATLASプロジェクトをフォローアップするためにフェーズ2として、2017年10月から2020年9月まで韓国およびUAEを含む10か国が参加して実施されている。
ATLAS-2プロジェクトは、韓国が開発した第3世代PWRであるAPR1400の熱水力安全および事故管理に関する課題に取り組むもの。UAEとしては、このATLAS-2に関わる協力協定を通じて、UAEの学生および研究者が集中的な研究活動に参加し、原子力の安全性向上につなげることを企図している。
FANRのヴィクトールソン事務局長は、「FANRが2009年に設立されて以来、原子力安全分野の人材育成を優先させてきた。この研究協定によって首長国連邦の学生と研究者は原子力システムにおける重要な安全性について学ぶことができる上に、ATLAS-2プロジェクトでの訓練情報は、卒業した学生たちにとっても貴重な資料となるであろう。」と述べた。
また、ハマディ博士は、今回の協力は、エネルギーと水の持続可能性の重要さを強調する「アブダビ経済ヴィジョン2030」に沿うものであると評価。FANRとの研究および協力協定により、原子力安全に関する地域の専門知識の向上に貢献し、将来の安全解析のための包括的トレーニング資料の作成にも役立つものと確信していると述べた。
調印式後には、FANRとカリファ大学は、10月に韓国で開催が予定されているATLAS-2プロジェクト評価会合での研究成果発表の準備に取り掛かるとしている。
UAEでは、現在APR1400が4基(各139万kW)、バラカで建設中となっている。1号機では、当初2018年中の運転開始を予定していたが、5月26日、安全文化の原則に従い、同炉の運転準備状況を包括的に審査した結果として、燃料装荷予定を2019年末か2020年初頭に延期すると発表している。
(参照情報:WNAの9月4日付WNN(ワールド・ニュークリア・ニューズ)、
FANRならびにOECD/NEAウェブサイト、原産新聞海外ニュースほか)